今日も生きてる

ゾンビを好きになりました。

わたしは無類の怖がりです。

たとえば、今でこそ「ネタ化」してしまった『リング』ですが、うっかり観た時は一週間ほど恐怖で眠れない日々が続きました。
バイオハザード』の第一作目で、開始早々なすすべもなく絶命、というトラウマからホラーゲームも苦手です。近年、『バイオハザードリベレーションズ』を試遊する機会がありましたが、やっぱりあっという間にやられてしまいました・・・(3DSなので目の前のものをつい避けたり、アッとかオオッとか叫びながら)。純粋にホラーではないけれど、結構怖い『ダークソウル』は、お仕事をさせていただいた作品なので、なんとかクリアしたのですが、あまりに毎度緊張しすぎて手汗びっしょりになりました。先日買った『バイオショック』も怖すぎて挫折しそうです…。


しかし、映画批評を見聞きしてると、どうも「ホラー」が苦手ってことは、名作映画の何割かは見られないみたいだぞ。勿体無いかも、と思い始めていました。

以前、「コーヒーが飲めないと喫茶店でおかわりできなくて損だし、外に長時間いたい時の選択肢が減る」という考えから、すこしずつ訓練してコーヒーを好きになっていったように、慣れればなんとかなるのではないかという気持ちもありました。

そんな時、tsumazuki no ishiのお芝居で『HEAVEN ELEVEN OF THE DEAD』という、ゾンビがフィーチャーされる作品を観ました(ホラーではない)。「ゾンビ」は言わずもがな、ゲーム業界の大好きコンテンツでもあります。お仕事がらみの人ともよく出てくる話なので、「ゾンビ気になる」という想いがだんだん高まってきました。そしてついに皆が口々におすすめする、アレを観てみようという気に…。


その作品の名は『ウォーキング・デッド』!これが…最初はむちゃくちゃ怖くて、わざと集中しないよう、「ながら」じゃないと観られなかったのですが、人物描写や緊張感のメリハリ(襲撃→休息→襲撃)、現実にありえそうな感じがうまく描かれていて、新鮮な展開・絵面なども楽しく、次第に怖いより面白いという気持ちが勝ってきました。

それまでに観ていたゾンビものって、
プラネット・テラー』(あまり怖くない。大好き!)
フロム・ダスク・ティル・ドーン』(正確には吸血鬼ものだが、ルックスその他どちらかというとゾンビっぽい。プラネット・テラーが大好きだったのでこちらもよかろうと。タラ得バカ映画で楽しかった!)
ショーン・オブ・ザ・デッド』(皆が怖くないっていうから観たけど、正直その時点の私には少しびくびくする場面も・・・まあ面白いですけど、ちょっと思ったより怖くて・・・エドのあまりの空気読めなささに真面目にイラッとしたこともw)

くらいでしたが、アフター『ウォーキング・デッド』で耐性が出来たので、ゾンビ映画を見まくりました。以下列挙:

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 
『ゾンビ米国劇場公開版(ドーン・オブ・ザ・デッド)』
死霊のえじきデイ・オブ・ザ・デッド)』 正直最初の花のロメロ三部作はあんまり…だったんですが、これはすごく良かったです。バブが!オープニングも!
ランド・オブ・ザ・デッド』 わりと評判悪いけど、娯楽作品としてわーいわーいと楽しめた。
ダイアリー・オブ・ザ・デッド』 そんなにネットつながるわけないだろwというツッコミはともかく、シリアス路線で新鮮な設定を味わえた。
サバイバル・オブ・ザ・デッド』 どうしても小物感というか、何かの途中で終わっちゃったような感じがあるけど、最後の絵面は好き。

ドーン・オブ・ザ・デッドザック・スナイダー版)』
『28日後…』
28週後…』これら三つは、とにかくテンポがよい!ヒャッハー!
あと、映画全体としては『28日後…/週後…』にそこまで愛着はないんだけど、アクションシークエンスやヴィジュアルが燃えるって事以外にも「世界内ルールとリアリティラインがちゃんとしてる」点で実はよく出来ている気がする。他はたいてい矛盾してるからね。死体じゃないから身体能力が高い理屈もつくし、食欲ベースで襲ってないから「ゾンビなんでお腹空いてるのに全部食べ切らないの問題」も解決してる。ゾンビ禍発生のメカニズムも、最初から説明されている。


ゾンビランド』 ひ弱主人公でも徹底してルールを守れば生き残れる!っていうのが新鮮でしたが、ウォーキング・デッド観た後だと、ゾンビの総量が少なくて、世界設定がイージーモードな気も…(コメディだからいいけど)

『ゾンビーノ』
ロンドンゾンビ紀行』この二つは『ショーン・オブ・ザ・デッド』以上にコメディ色が強く、軽妙で楽しい。
バイオハザード・ディジェネレーション(カプコン制作のCGの方)』『バイオハザード(ミラ・ジョボさんの実写)』主人公がもうゾンビに慣れすぎ、強すぎw


書籍も:
WORLD WAR Zワールド・ウォー Z)』
ユリイカ 2013年2月号 特集=ゾンビ』
アイアムアヒーロー


ゲーム:
"The Walking Dead (The Walking Dead: The Game)" 今のところiOS版のエピソード1までやりました。怖すぎず、難しすぎず、とはいえストーリや頭を使わせる攻略性などは十分凝っており、時間制限付で「誰を助けるか決めないといけない」など、ドラマの雰囲気を素晴らしく再現してる。途中まで英語字幕オプションに気づかず苦労…南部なまりの英語を聞いてとっさに理解するのは難しい…。


色々観て思ったこと:

  • ゾンビ映画は愚かな人間模様がウリの一つだと思うんだけど、あまりにも愚かだと感情移入できなくて、「はぁ勝手に死んでください・・・」という気持ちになってしまうので、怖くなくなってしまう。最善策をとっているけど、危機にあう、という方がドラマ的高揚感があり、どきどきする。
  • 特に、昔のロメロ作品などは時代もあるのでしょうがないが、『ウォーキング・デッド』のシーズン2くらいまででも、「女性キャラが男性キャラに比べて全般的にアホすぎる(あるいは情緒不安定すぎる)」と興ざめする(アンドレアとかなんなんだよ・・・)。
  • クリシェの宝庫だからこそ、新鮮な何かを新しく発見したいという欲望!これはゾンビ映画を見比べる楽しみの一つだと思う。『28』シリーズだと、「うわっ新しいルール設定。超早いし、強いし、すぐ感染するし、いっぱいいるし、囮になった人にゆっくり群がって食べないし、無理!!!」「暗い中、大量の感染者と閉じ込められる悪夢的状況ぎょえーーーー」→でも、実はロメロゾンビよりは「希望・解決可能性」を感じさせるルール設定もあるので、希望と絶望が拮抗して燃えるとか。
  • ウォーキング・デッド』の、「もしこの状態がずーーっと続いたらという世界」とか、絵面一発の新鮮さとか。第一話の戦車を上から見たシーンや、下り方面だけ渋滞してる高速道路を馬でいくシーンなんか最高ですね。この第一話なら、続きを見ざるをえない!と思った(現在Gyaoでみられます)。
  • いまは今夏映画化される『ワールド・ウォー Z』を楽しみにしているのですが、原作は正に「新鮮で魅力的なプロット」の宝庫なので、単発映画では勿体無いなくて、長編ドラマで群像劇として丁寧にやってほしい気もします。原作の『ワールド・ウォー Z』は難を言えば、面白いシナリオなのはわかるけど、生き残った人の後日談だし、筆致が端的なので、「主観のドラマでじっくり人物の感情を追いながらこれを体験したらもっと面白そう」という気持ちが否めません(出来事の要旨を読んでいる感じというか)。映画の中で「オンヌパセパ!!!」の瞬間を聞いたり、イギリスの「あの方」の描写であったり、大統領のスピーチを聞いたら鳥肌立ちそうです。予告で話題になっている『壁』描写も絵面として楽しみです。