今日も生きてる

柳家×三笑亭 Vol.3

於:お江戸日本橋

〜お番組〜
宝井琴柑『鞍馬天狗と牛若丸』
三笑亭可龍『猫と金魚』
柳家初花『竹の水仙
<お仲入り>
三笑亭夢吉(強制友情出演)『権助魚』
柳家初花『反対俥』
三笑亭可龍『阿武松

  • 可龍さんの噺を聞くのは実に丸一年前の同『柳家×三笑亭 Vol.1』ぶり。去年の日記を見てみると、この時期は連戦すぎでちーともまともに感想書けてないね。当時手書きでつけていた落語観賞メモに残っていた事を数行書き足しておいた。

http://d.hatena.ne.jp/stilllife/20060804/1154778524

  • 私は、若手だと「噺固まってなくていつでも成長期!」みたいな人を見てる方がつい楽しくて、追っかけがちなので、逆に可龍さんみたいに「いつも出来る子」の追っかけは手薄になりがち。でも、そういうタイプの人は「毎会全部来ます!根多かぶってもイイから!」みたいなスタイルよりも、しばらく放流しといてキャッチ&リリースで成長をちょっと遠くから見守りつつ、番組に入ってるとうれしいな、とか、節目の会にはいきたいな、っていう姿勢がお互いの新鮮な感動のためにもいい気はするんだよね・・。こういう人はちゃんと固定ファンもいるので、「心配」とか「親心」という、ある意味では不純な動機で観に行くこともないし。
  • それで一年ぶりの可龍さんはというと、おお!さらに良くなってる、とちゃんと感動しました。なんというか、少々厳しいことを言うと、以前は「巧いんだけど小さい」というか、噺に「窮屈で狭い感じ」「神経質な感じ」がして「カド」があったのです。逆に口調が巧い故に、そこだけに収まってしまってるような、口先できれいにまとめてしまってるような・・でも今回聞いたら、世界がもっと広くて、のびのびとしてて、ゆたかになってた。巧い人は巧い分だけ変わるのも難しいと思うんだけど、この人はちゃんと着実に変わっていける人なんだなぁと1年間の重みを感じました。
  • 初花さんの『反対俥』「今しか出来ない」といって出した飛び道具は、ごめん、正直に言うと引いた。私だってゲラゲラ笑ったし、笑ったんだけど・・心は冷めた。「落語のお約束破り」には厳しいほうじゃないはず(白鳥さんとか好きなわけだし)なのだけど、今回は、「お客様を楽しませたい」というサービス精神よりも、「おれが受けたい」という我をイヤらしく感じてしまったのは私だけでしょうか。それは非常に微妙で、感覚的、生理的なボーダーラインで、私にとってはアウトだった。他の人には好評だったし、挑戦する心は買うし、良い・悪いじゃなくて、好き・嫌いの問題で、私にはどうもこれは受け付けなかった・・。初花さんのおネエキャラは好き。実は影アナも大好き。
  • き、気を取り直してー(↑告白するのに勇気いったー!)。講談聞くのはまだまだ二回目。琴柑さんという前座さん。かわいいな。口調もしゃくしゃくと聞き取りやすく、名前の通り柑橘系のような甘酸っぱさとさわやかさ。
  • なんか今年の夏は夢吉さんと妙に「狙ってなくても会える」巡り合わせで、談修さんの会のゲスト時(初対面)、研精会でスタッフ要員時、今回と、合わせて3回お会いした。そして新たに私調べの「要チェックや!」な人になった。この人は面白い。とにかく面白い。高座も素も面白い。落語はメリハリがあって、分かりやすくて、勢いがあって明るい高座。まだ二席しか見ていないけど、二席とも良かった。得意ネタ二席だった可能性もあるけど・・。
  • でもそれより何より衝撃を受けたのが、夢吉さんの舞台下での超オモシロ具合。談修さんの時はアウェーだったためか、そこまで爆発してなかったけど、仲良しの可龍さんの会とあって、打ち上げでの大噴火具合が凄まじかった。初花さんが「(犬を呼ぶ口調で)夢吉!ハウス!」って言ったくらいおかしかった(この発言にも爆笑だったけど)(こういう時の初花さんの言葉選びセンスはすごいと思う)。可龍・初花ファンが集まってるはずの会なのに、打ち上げではお客全員が夢吉フィーバーに持ってかれていた。どれくらい盛り上がってたかというと、「箸袋でもいいから!」とサイン求められてたぜ・・!?しかも複数女子からのリクエストで。あそこまで打ち上げで面白い落語家さん、そしてその場に居る人々を虜にしている落語家さんを初めて見た。今までの人生の中でも、素の状態で会話をした間柄で、面白かった人ベスト5に入ると思う。言動だけじゃなくて、絵も天才的に面白かった。それとサインの字と根多帳*1の字を拝見したら、筆文字が真面目に達筆で美しくて、そんな意外性も魅力でした。

(ちなみにすごい個人的な話で余談だけど、昔好きだった人と、リアクションとかが似てて「すわ、いまのなぜかYさんぽいっ!」ってドキッとした。そういえばあの人も新潟出身だったなあ。見かけは全然似てないんですけど、どっか似てます。)

  • 夢吉さんの時代は絶対くるよ!高座も面白いけど、彼に関しては舞台下でお会い出来る機会に出会っておくのをぜひおすすめしたい。遠くへいかない今のうちに!

ブログも面白いのですけど、夢吉さんのぶっ飛びセンス大噴火を手っ取り早く感じてもらうには可龍さんのサイト内にある夢吉画廊を見るといいよ。すごすぎる。

*1:これは後日別の場所で