今日も生きてる

黒門亭夜席『桂文生一門会』

平成18年8月18日 於:落語協会二階

ーお番組ー
古今亭章五 『狸の札』(開口一番)
桂きん治 『反対俥』
桂笑生 『かぼちゃ屋
桂文ぶん 『青菜』
桂文生 『もう半分』*1


先だって正雀師匠トリの池袋八月上席夜の部で、「もーーーーー!今まで何で出会ってなかったの?!」って位大発見だったのが、この文生師匠。この人はいいです。あんまり人のおすすめとかで聞いた事なかったから全然ノーマークだったけど、まだ聞いてない方は是非どこかで一席聞いてみて下さい。自信を持ってお薦めします。しあわせーな気持ちになれませすぜ!


私が生で聞いた噺家さんの中で五本の指に入る「絶対崩れない落語リズム感」を持っている人です。もうメトロノームの音が聞こえてきそうなくらい*2カチッカチッと気持ちのいいリズムで言葉がハマっていきます。落語だけじゃなくて、漫談でも絶対リズムがずれなくて完璧です。これだけ素敵なリズムで話されるんだったら漫談だけで降りられても全然かまいません。また歌が上手いんですよ。この前『親子酒』やってた時も、他の人では聞いた事の無い『謡』が、酔っ払いが千鳥足で唄う歌として入っていて美声を披露していました。


「かわいいおじいちゃん度」もスッバらしいです。もう素晴らしくチャーミング。今月の私内テーマの一つは「怪談」、もう一つは「ビバ!おじいちゃん落語家」なので、この根多出しの日にめがけて行ったんですが、文生師匠が陰気になる噺は嫌いだそうで、「明るい」とまでは行かないまでも、かなり軽い噺に作り替えていました。


結構改作はやるみたいで、今度の11月国立で、「もし『らくだ』の一周忌が行われて特別ゲストにくず屋が来たら」という噺をやるそうです。タイトルはその名も『らくだの一周忌』。なかなか面白いものが聞けそうな気配。


ちなみにお弟子さんでは文ぶんさんが良かったです。師匠ほどのリズム感とまではいきませんが、しっかり響く低めのいい声と、なかなかに豊かな落語の旋律を持っている口調でございました。
黒門亭は明日の夜も桂文生一門会なので、余裕のある方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。幸か不幸か、たぶん、多少遅れて入っても札止めになる事は無いと思います。

*1:と、いってもかなり改作

*2:私が今まで生で聞いた事のある人の中でこの「体内落語メトロノーム」が聞こえて来る人っていうとパッと思い浮かぶのは、他に家元、市馬師、鯉昇師、そして志ら乃さん。すっごく希有だと思います。