今日も生きてる

志らく百席(第13回)

平成18年7月5日 於:横浜にぎわい座

ーお番組ー
立川志らら 『鰻屋』
立川志らく 『猫久』
立川志らく 『禁酒番屋
<お仲入り>
ロケット団 漫才
立川志らく 『お直し』


今日は三席とも割とあっさりしていた気がする。普通に面白い。でもその「普通」は勿論「志らくさんの普通レベル」で、他と比べればとっても上等なのだけどね。


『猫久』は志らくさんを初めて聞いて衝撃を受けた思い入れの深い噺。志らく百席は根多出しなので、<再会>を楽しみにしていました。二回目で聞いても、やっぱり毎回噺が固まってないので楽しめる。怒濤のオウム返しくすぐり連発はたまらない名フレーズだらけで、例えせんだって知っていてもやっぱり笑ってしまう。


「きゅうりはいかが?」ってくすぐり今まであったっけ?なかったっけ?この言葉自体はおかしくないのに、志らくさんが絶妙のタイミングでやるとおっかしい。
それにやっぱり笑いとは別に、最初のシーンが物凄く鮮やかで緊張感があって好き。


初『お直し』。この噺は凄惨で重い噺と聞いていたので、ちょっと身構えていたのだけど、志らくさんは余り重さを出さずにやっていた。蹴転(けころ)という場所の描写とお客とのやり取りの描写は、もっともっと見ていられないくらい生々しく陰惨に出来るのだろうけど(前回の『お藤松五郎』みたいに)、ブラックコメディの域に収めてしまい(志らく落語の名脇役『二つ折で長い舌を出すババア』でました!)、夫婦の描写の方が真剣なムードで、どちらかというと人情噺っぽい。


特にお客をとった後旦那が怒り出し、それに向かって女房がすすり泣くシーン、志らくさん演ずる女房が愛おしすぎて抱きしめたくなった。普通泣くシーンじゃないのかも知れないけど、私は女房にぐっと感情移入してしまい、ちょっと泣いちゃいました。もちろん、志らくさんの場合、人情噺でもすぐに笑わせるくすぐりが入ってオチオチ泣かせてもらえないんですけどね。