今日も生きてる

野方珈琲寄席(第4回)

平成18年6月10日 於:カフェ オーディトリアム(野方)

ーお番組ー
柳家初花 『寿限無
<お仲入り>
柳家初花 『悋気の独楽』


だから、打ち上げが楽しすぎると噺の感想書き辛いんだってば!という弁明を「しょっぱな」から叫びたいくらい、打ち上げが素晴らしすぎる会でした。けして落語がつまらなかったわけでは勿論ないの、でも人間の脳は「上書き保存」と「新しいフォルダに名前をつけて保存」、とか、うまく出来ないのォーー。


本当に打ち上げ込みで楽しすぎることに感動した。なんていい会なんだ、と。ここ最近、こういう小さな落語会はわりと「勉強しよう」という視点で見てるので、いろいろ参考にしたいと思いました。本当にすごい。一つのイベントとして、これは多分、全然落語ファンじゃなくても楽しい気持ちになって帰る会だったと思う。頭が下がる思いというか、私もフンドシ締め直そうと思いました。


計算されたエンターテイメントの楽しさではなくて、どこまでも愛があってゆるくて優しくて、という良さ。アットホームがたとえの域を越えて、本当に「家にいた」!


ええーーーと、らくご・・・落語の話しなきゃ。
地元は今区議選?だかなんだかの地域選挙の前らしくて、途中選挙カーの宣伝が聞こえてきたので、初花さんが最近地元で見かけたツッコミどころ満載の立候補者の、ありえないポスターの話。これはかなりオカシイのでネタバレなしでどっかで聞いてほしい。そしてメガネ男子ネタ3回目。でもまだコレはうけてしまう・・!実際どこでもウケがよく、いいネタだと思う。


打ち上げの時、「『あの本』に関わってるんですよ」とカミングアウト。しかも席亭さん(女子)が本を持ってて!この話で異様な盛り上がりを見せ、「『メガネとると美形』よりもむしろ、『メガネとるとちょっとショボい』くらいのほうがイイんだよね!」「そうそう!メガネとると『すまし汁』みたいなほうがいいよね!」「落語家さんは着物にメガネなんて反則だよ・・6割増*1だよ・・」とディープに意見が一致、思わず手に手を取り合う二人(だから初対面だって)。席亭さんとは小さな落語会の難しい所など、少しマジメな話もした。


あれ、また落語から逸れたって!えーと『寿限無』は、池袋で聞いたばかりなのだけど、盛り上げ所ではやっぱり楽しい。私は結構『寿限無』好きなので、かぶって聞いてもあまり飽きない。かわいい噺だよねえ(談笑さんの黒い『寿限無』も忘れがたいが)。寿限無はお風呂の中とかで唱えたりする。あと、雑誌のクウネルを見ると「食う寝る所に住む所、やぶらこうじのぶらこうじ・・」と脳内で続けてしまう病気です。そんな自分と雑誌のかけ離れたおしゃれさにまた一人でちょっと楽しくなってしまうという重症です。


『悋気の独楽』も噺自体けっこう好き。基本的に女の人の出てくる噺や浮ついた噺は好き。『厩火事』しかり、『浮世床』しかり。初花さんのお上さん、声にドスが効いててイイーーネ!白髪抜き・黒髪抜きの小咄に出てくるお上さんからして良かった。あ、そういえば、うろおぼえで記憶が定かじゃないけど、「美川憲一のモノマネ」出来るって言ってたかも?!定吉の子供らしさと、お上さんの迫力と、お妾さんのキレイなお姉さんぶりと、旦那のていたらくと、各登場人物の演じ分けが立体的というか、メリハリがあって聞きやすかった。


6月上席から今月いっぱい集中的に高座が続く初花さん。今数えてみると・・今月約25席!しかも10、11、13日だけで8席!それでこの8席は変えていこうかな、と日記で匂わせていたので、結局終電までいた打ち上げの帰り、たまたま先行グループ二人で歩いていたとき、「本当に全部ちがう噺やってくれるんですか?」「明日の早朝寄席起きれるかなあ」と言っていたら、「また『悋気の独楽』やるから無理しないでいいですよ」と言われた。


けれども、実際には『宗論』をかけてて、本人日記によれば、やっぱり全席違う噺をかける心づもりらしい。漢と書いてオ・ト・コだぜ、いよっ、初花!なんつって、思わず私にも一八が乗り移りますよ*2。ここで書くにはプライベートすぎるので具体的には書きませんが、この日、そのほかの言動でも初花さんは大変オットコマエでした。どこへ出しても恥ずかしくない子なので、どこへ出ても母さん太鼓判を押し続けたいです*3


ちなみに、志らく一門会と下丸子で毎回お顔を見ていたお客さんがこの会の常連さんだったので、おくればせながら正式に知り合う。志らく師匠と志らく一門の素晴らしさについて色々話せたのが楽しかった(アンタそればっかりや!)。『立川志ら乃の噺三席』がどれだけヤバかったかをとうとうと語った。最近会う落語ファン全員に噺三席の話をしては、「へえーーそんなに良かったんだ。行けば良かったかも」と言わせ、その度に「勝った!」と思っている。私に「注目してる人は誰ですか?」とか聞くと素人義太夫の刑ですよ?浴びますよ?
この方はなんと、この落語会の第一回で初花さんを聞いたのが初落語で、この会→初花→花緑→下丸子→志らくといういきさつだったらしい。マニアックな会で弟子を先に見て師匠の会へ、という点で私と順序が対称だ。しかも志らく一門←→花緑一門の順序も丁度真逆。


改めて説明すると、私は、タイガー&ドラゴンで落語に興味→末廣亭で落語初体験、落語への興味が確信に→志の輔のPARCO落語をテレビで見る→立川流日暮里寄席→立川流ってなんだか面白いから要チェックや→こしら・志ら乃・らく次(このメンバーを初めて見るのが不動院てのも何だが)→志らく一門会で初めての志らくにズキューーン→志らく追っかけ始動→下丸子→初花→この会。

*1:内訳を考えてみた。メガネが似合ってると三割増、着物で一割増、落語家というので一割増、好感度が上がる気がする。

*2:ちなみに熱くなると『大工調べ』の棟梁が乗り移ります。気をつけて!

*3:母さん、出た、「母さん」!