今日も生きてる

池袋演芸場6月上席昼の部+夜の部もチョット居続けー寄席の日ー

平成18年06月05日

ここ最近行った寄席の中では、一番好きな人が多くて、かつ「そうでない人」が少なくて*1、私にとってはとても相性のいい番組でした。場所も一番好きな池袋で気分は上々。

そして、重要告白。池袋、前座の開口一番は15分前からって今更知った。福袋演芸場とか特別興行以外の定席ではいつも途中からか、二ツ目さんの途中に着いたりしていて、今まで気付いてなかった。その事でお約束をしてた人にご迷惑をかけてしまった。ああああ。なんて基本的な間違いで!ほんとごめんなさい!

ー昼の部お番組ー
柳家初花 『寿限無
すず風にゃん子・金魚 漫才
三遊亭時松 『粗忽の釘』<寿 二ツ目昇進>
入船亭扇治 『壷算』
アサダ二世 奇術
柳家さん喬 『そば清』
鈴々舎馬桜 『たがや』
柳家小菊 俗曲
柳家喜多八 『かんしゃく』
<お仲入り>
古今亭菊之丞 『酢豆腐
三遊亭歌之介 『お父さんのハンディ』
柳貴家小雪 太神楽
入船亭扇遊 『妾馬』

ー夜の部ー
柳家生ねん 『道灌』
桂才紫 『近日息子』
鈴々舎馬るこ フォーク漫談 <寿 二ツ目昇進>
伊藤夢葉 奇術
林家たい平 『紙屑屋』


・今日は寄席の日だそうで、料金半額+笑三師匠画『七福神』の団扇つき。そのため平日昼なのに満員大入り立ち見あり。これには噺家さんたちの方が驚き「じゃあ普段も皆さん時間的には来れるってことですね」と皮肉。一人1200円でもゆうに100人以上入ってたので、普段10-20人なんて時よりお割はよろしいんじゃないかと。ちなみに皆さんお着物が夏らしくなってきて新鮮でした。

・こちらの自業自得な事情でいろいろあって、初花さんの時はまだ気がそぞろだった。マクラは黒門亭でも聞いた『メガネ男子ブーム』のネタ。くくくく、これは何度聞いても笑っちゃう。あの書籍の関係者だという事は勿論ご本人にはカミングアウトしてないです。いまの私は「めがねだんし」と入力すると一番最初にくる変換はむしろ『メガネ談志』ですから・・。


初花さんの十八番と聞いていた『寿限無』を初めて生で聞く。過去の録音では聞いてたのだが、各所進化しているご様子。というかあの録音は本人も消し去りたい過去っぽい(宣伝してないから)。本当に長い「長ーい名前」で客を煽って拍手させたり、彼の太々しい遊び心というか、お客をいい意味でいっぱい食わしてやろうという芸人根性が好きです。ピンポイントでは「寿限無くんのおばあさん」がお気に入り。『宮戸川』のおばあさんとか、のり屋のばばあも聞いてみたいなー。


・寿!二ツ目昇進時松さん。なぜか顔が物凄く赤いのですけど、これは地顔ですか?それとも、まさか・・・・トリの人につき合わされて・・ふ、ふつかよい・・・?
ともあれ粗忽の釘はさくっとバカバカしくて好きな噺。いい感じに軽ーくやってくれた。ただし隣のうちの人に夫婦のなれそめを語る所はう、う、うぜえええーーっと思わずつっこみたくなるノロケっぷりで、これまたイイお湯加減。


・久々にさん喬光線(=さん喬師匠が出てくるだけで発する後光)を浴びて、胸がきゅーーーんとなる。ほわーーー・・・し・あ・わ・せ・・・!!トリとか落語会とか以外の「あっさり」「それなり」が求められる出番でも、これだけ楽しめる師匠は他にまだ出会ってないかも。


たぶん今日一番の拍手と「待ってました」がかかり、タモさんのような抜群のタイミングと鋭い動きで、両手を真一文字に広げて手の平を反らせ、指揮者の「止まれ」ポーズのような格好で拍手を自ら止めにいった!こんな最初っから小技が利いてるんだからこの人は・・!「有難い事ですが、『たっぷり』なんて言ったって、お客さんも持ち時間知ってるくせに・・」ってもう、さん喬さんたら!


そばのマクラを振っただけで、「ザ・柳家な食べる仕草が見られる!!!」とボルテージ上がる私。きゃーきゃーYA・NA・GI・YAミーツSO!BA!SO!BA!『時そば』かしらと思ったら『そば清』。そして伝家の宝刀“柳家そばたぐり”はやっぱり絶品!そばすすってるだけで拍手も湧きますよ。


「どぅーーおも」という決まり文句が耳に残る清兵衛さん。こんなうざったらしい清兵衛さん見た事ない!そば20枚食べた後にそば湯でうがいをォ・・・イ、イヤーーー!!!!「この草には溶かすものとそうでない物がある。皆さん、ここ一番集中して聞いて下さい」というサゲへの盛り上げ方も、ううううーーーーこのさん喬グルーヴ、何ともたまらんです!


・喜多八さんの『らくだ』がフジポッドお台場寄席の配信で聞けるんだけど、それをMP3プレイヤーに入れてイヤフォン/ヘッドフォンで聞くと、怒ってる人が本気で怖すぎて聞いていられない、いちいち耳元の声にビクビクビクゥッとなる、というレポートを以前書きました。


そして今日の『かんしゃく』です。こっっっわいの、なんの!!!最前列で自分も怒られてるみたいで、小動物としては旦那様がかんしゃくを落とされる度に肩が震え、寿命が縮まりました。喜多八さんか談春さんで怖い人が出てくる時は最前列に座るとある意味、『素人義太夫』的な目に遭うかもしれません。声でお客の額が割れそう。衝撃波でアザ作れそう。


ちなみに昨日の寄席では柳の宮喜多八殿下の雅やかなイメージを崩す、ゆゆしき事件があったそうな。「昼トリの師匠」は呑み癖が悪いらしく、連日朝までつき合わされてた喜多八さんは今も調子が悪いそうですが、昨日はなんと高座中にお花露をおん垂らしあそばされたそうでございます。
「まだ『トリの人』は楽屋入りしておりませんが・・多分ギリギリまで寝ているつもりでしょう。今日も中日ですから、行く事になると思います。しかもまた夜の志ん輔師匠とあの人は仲がいいですからね、夜がハネた後に合流してまた朝までですよ・・」だそーです。


・菊之丞さん、バカボンで言うとイヤミポジとでも言えばよいのでしょうか、正に「鼻つまみ」モノな、あの若旦那はハマリ役ですね。


・歌之介さん、トバシてました!ハジケてました!寄席の普通の出番でこれだけハイカロリーな熱演を聞ける事ってそうそうない気がします。寄席の中にあってむしろ際立つ貴重な芸風。激しいなあー。歌之介さんは約2ヶ月ぶり。久々に見れてうれしいお目当ての一人でした。


・トリの扇遊さん、喜多八さんの話でちょっと不安になりましたが、きちんと楽しい『妾馬』を聞かせてくれる。喜多八→菊之丞→歌之介→扇遊と、レベルの高いものをよどみなく聞かせてもらって、本当に今日はいい番組だったなという感想。


・夜の予定まで少し時間があったので、たい平さんまで居続け。
志らべさんの『浮世根問』で志らく師匠から厳しい講評があって、「家元は初高座『浮世根問』で落語通をうならせた。噺自体は大して面白いもんではないが、光るものは見せられる根多」、という話を聞き、違う日にまた志らくさんから「自分は初高座『道灌』で家元に褒められた。」という話を聞いて、柳家の前座さんが『浮世根問』とか『道灌』とかやると、やたら気になってしまいます。


そして今日の生ねんさんの『道灌』はかなり好印象。これが“スジのいい”『道灌』というものかしら。「聞ける」『道灌』、「聞いてられない」『道灌』、この差は一体なんなんでしょうね。ちなみに今落語協会公式サイトのパワーアップしたインターネット落語会では喬太郎さんが『道灌』を披露してます。このインターネット落語会、演者はいいんですけど、ネタの選択は正直どうかなー。それぞれ会場が違うという事は、何本か撮ってた中の三本だと思うんですけど、もっと面白い噺の時があるだろうに・・と思いました。


・才紫さんって息子の声がアニメとかNHK教育のキャラクターみたい。お父さんの声もわりと高くて「おいヨタロー」ってお父っつぁんが叫ぶ時、目玉おやじの「おいキタロー!」を彷彿。


・寿!二ツ目昇進の馬るこさん。「二ツ目になったら何でも好きな事やっていいと師匠に言われたので・・」と、なんと落語やらずにギター片手に歌い出しフォーク漫談。びっくりしたーー!!「私の趣味を押しつけてますが『寄席の日』ですから!安く来てるんですから!これくらい我慢してみてもいいじゃないですか!聞きたくない人は即刻お帰り下さい!」ぎゃははは、これには吹き出した。確かに文句言えない面子と値段・・!結構盛り上がっていて、大勢のお客さんが素直に手拍子なんかも打ってて、「今日の客は優しいなあ、私はそこまで優しくないですよ・・しかもせっかく盛り上がってるのに手拍子で声が聞こえないから逆効果」などとヒネクレ子に傍観していました(ヒドイ)。


・私にとっての最後はたい平さんの『紙屑屋』。
マクラは昔の池袋演芸場に飾ってあった色紙について。あとネットの記事や書き込みについて(笑)「言いたい事あるならネットになんか書かないでヒザつきあわして面と向かって話しましょうってお客さんに言ったんですよ。『今日はわたくし、終演後ロビーで待ってますから。一緒に飲みに行って何でも話聞きましょう。』て言って、本当に待ってたら誰も来なかったんですけど、二人くらいが覗きにきて『あいつ本当に待ってやがる』って言って、ネットにまた『あの後本当にたい平待ってたよ』なんて書いてあったんですよ」と、言ってた事をさらに今わたしが書きました、すみませんたい平さん!だってこの話どこまでホントか分からんけどオモシロ・・!そしてこのマクラはきっと他でもいっぱい振ってるんだろうな、とか書いちゃうのが大きなお世話なのでしょうけど!


んで本題、『紙屑屋』ね。これはもう、モノマネ満載、小芝居満載でとっても楽しかった!!!こういうの大好き。全部誰だか分かったわけじゃないけど、色んな芸が次から次へと見れて、元ネタが分からなくても充分面白い。まともに分かったのはぶらり旅のレポーター滝口順平だけ(似てる!)。他の人の記事を調べたら、廣澤虎造『金比羅代参』、市川團十郎中村福助の歌舞伎があったのを思い出せた。残念ながら、名物の花火はなかったです。夏のうちは季節ものだから、聞けるといいな。


追記:あ、でも私、その注意自体がネタで言ってるとしても、一応「ここだけの話です」って振られた時はネットに書きません。じゃないと打ち上げとか参加できないよね!!

*1:「ここ最近の」はお目当てのために行ったけど他はナカナカ・・という事ですね、ニガワライ!