今日も生きてる

鈴本4月中席・桂三枝初お目見え特別興行

平成18年4月17日(4月中席)夜の部 於:鈴本演芸場

ー番組ー

林家きくお 『新聞記事』(前座による開口一番はなし)
三遊亭白鳥 『戦えおばさん部隊』
柳家花緑 『宮戸川
春風亭小朝 『代書屋』
林家いっ平 『浜野矩随』<仲入り>
林家たい平 漫談
林家木久藏 漫談<8代目正藏の話>
桂三枝 演目不明(新作)(筋から察するに『教育狂騒曲』かも)

・浅草昼の部からハシゴ、イス席は既に満員、当日立見券2000円で入場。ちなみに指定席料金は3500円。

・この日からつい二日前、らくご友達に、
「2回目以降でも楽しめる新作落語なんてなかなかないですよね」「今までもう一回聞きたいと思ったのは白鳥さんの『おばさん部隊』だけ」と言ったばかりで、こんなにすぐまた聞けるなんてラッキー。
およそ一週間前にも聞いた噺だけど、やっぱり面白い。ほらー、演目被ってたって、新作だって、落語はこうでなくちゃ。


『宮戸川』祭り三席目。半ちゃんの逃げっぷりが激しい。それでもお花に帯を引っ張られ、「お代官様、あーれー」よろしくクルクル回される。花緑版のおじさんも「飲みこんだ」は決め仕草つき、それをリピートし笑いをとる。噺前半のドタバタっぷりと花緑さんの軽妙さがよく合っていて楽しかった。


半七がとことん弱く、男女の立場が逆転する花緑版のオチは、普通版の『宮戸川』を聞いた後だからこそ余計におかしい。青白くて、ヤセ型で、気が弱くて、女嫌いで、という花緑版半ちゃんの描写に、らく次版半ちゃんの残像が重なり、わたしの脳内では朗読:柳家花緑、主演:立川らく次だった。花緑さん自身も「ちょっと情けないけどそこが魅力」みたいな芸風があるからオイシイよなあ。


この『宮戸川』も完全にドタバタ滑稽噺で、色気なんてあったものではなかったけれど、志らく師匠がらく次さんの講評で言っていたような、つやっぽい『宮戸川』も今度は聞いてみたいね。


・いっ平さんの『浜野矩随』も間をおかず二回目。でも最初と同じ様にとても好印象。


・たい平さん。池袋最前列とかよりこれくらい離れてたほうが、この人とはちょうどいい距離かも。食いつきということで、寄席でものを食べる時、缶のプルタブを開けたり、ビニールの袋を開けたりして、音が出そうだったら客が笑うタイミングにやってごまかせ、との教えあり。なるほど、これからそうしようと思った。あと湧いたのは懐からあるくすぐりの小道具として取り出した「小さい座布団に座った小さいたい平人形」。


・いよいよ三枝師匠の登場。マクラによれば東京にいる間、昼は落語会、夜は寄席、さらにその後は日テレの番組「シャル・ウィ・ダンス」の社交ダンス練習、と激務で疲労困憊だそうだ。終演後、お手洗いに行く時にちょうど楽屋口前ですれ違ったけど、近くで見るとものすごおーーーくグッタリしているのがありありとわかった。立川流一疲れている噺家・ダークサイド志の輔もかくや、なのだろうか。人気者は大変だ。


演目は題名がわからないけど、お父さんが子供の宿題を見て、本当はわからないのになんとか答えようとてんやわんやする噺。華があって、わかりやすく、スカッと笑える、さすがのザ・エンターテイメントな一席でした。