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クーロンズ・ゲートと妄想の島

「今までで一番好きなゲームは?」
と聞かれると、いつも『クーロンズ・ゲート』と答えています。

1997年に初代プレイステーションで発売。
香港にあった九龍城砦×『ブレードランナー』といった趣のアドベンチャーゲームです。
プレイステーションバブルの最中、突飛なゲームが流行っていた頃ならではのカルト作です。

いびつなゲームバランス、濃密な世界観と描き込み、豪華な音楽*1と声優陣、製作は混乱を極め、延長続きで5年、広告やパッケージなどにも大掛かりな予算がかかっていたそうで、今のゲームの販売数から比較するとそこまで絶望的なセールスではなかった(10万ほど?)けど伝説的な赤字を生んだとか…色々後から調べると、残念ながら「まあ続編出ないよね」という大人の事情が察せられます……。

いわゆる「クソゲー」としても有名で、実際プレイ前のわたしの記憶に残っていた印象は『超クソゲー』というムックでキワモノ扱いされていた事と、よく中古屋に置いてある事でした。

ですが、私はこのゲームのことが大好きになりました。

初プレイは高校時代。
凄く怖くて、悪夢にうなされて、味方NPCが出てきてもビクついて、クリアしないと怖くて寝られないから呪われたように数日連続でやり続けて、でもクリアした後はまたあいつらに会いたいって恋しくなっちゃうゲームでした。
それから何度もプレイしたり、プレイステーション本体が壊れ、大人になってからも絶版になった関連書籍を集めたりしていました。『クーロンズ・ゲート』の元ネタ集とも言える本、ディレクター・脚本の木村央志氏の書いた『ゲームクリエイター作法』も何度も読みました。ミステリアスな雰囲気のゲームをプレイするたびに、昔の恋人の影を追い求めているようでさえありました。

17年後の今年、レトロゲームのサウンドトラックを扱うクラリスディスクというレーベルから、そのゲームの完全版サウンドトラックが発売されることになったのです。しかも!当時の関係者を呼んで発売記念イベントを行うことになったのです。

イベントはキャパおよそ110-120名のお台場*2東京カルチャーカルチャーで行われ、たいして告知されていなかったにも関わらず、めざとい現役ファンたちが集まり、発売開始から15分でチケット完売しました。

わたしは発売時間に予定があったのですが、トイレに駆け込んで携帯からイープラスの予約ボタンを叩き込み、整理番号100番でギリギリ間に合ったのです。

当日は夢のようでした。
本当に生きてきて良かった。
皆でゲーム実況→エンディング鑑賞、制作者へのQ&A、はい島邦明さんの生ライブ…
また、今回、サウンドトラックには「もしもリメイクしたら」という設定で新たに作られた歌つきの曲が入っており、それを歌っている天才少女が中国からわざわざゲスト登場、という心配になる豪華さでした。この新曲は改めて購入したCDでも聞いたのですが、月並感想ながら「新しさ」とクーロンらしい「懐かしさ」が共存していて素晴らしいです。最近のテーマカフェのように、「剥きえびのフライ」、「ブルークロウ風カクテル」などゲーム内容にちなんだメニューもありました。クーロンズ・ゲートの最強アイテム「剥きえび」がボスさえ倒せる力を持っているのは、木村さんが苦手な食べ物だったからだとか……。

さらに、通常のイベントプログラムの後、制作者とファンがざっくばらんにお話したり、当時の資料を閲覧したりする事さえ出来て、さながら17年越しの同窓会のようでした。

いまだにねちっこく「木村央志」で検索している面倒くさいファンこと私なのですが、
憧れの木村さんとも邂逅を果たし、興奮と緊張で腕が、声が、震え上がりました。

ミーハーだけど、こんな機会はもう二度とないかなと思い制作者の皆さんからサインも頂きました。

サインOKとか特に事前告知されていなかったのに、当時のゲーム本体やガイドブックや雑誌など、サインしてもらう用に思い思いの品を持参しているファンが多く笑いました。

ファンの力はあなどれないもので、6/28、このサウンドトラックはオリコンアルバムチャートデイリーランキング8位になりました。

クラリスディスク公式ページ
http://claricedisc.com/kg.html
http://claricedisc.shop-pro.jp/?pid=74521640

当日の様子:
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20140701_655667.html

このイベントは今週土曜日までニコニコで有料視聴可能です:
http://ch.nicovideo.jp/claricedisc/live/lv181999999

余談:
クーロンズ・ゲート』は少し前まで最初の発売元SMEから権利を譲渡されたアートディンクより PlayStationStore で配信されていましたが、何らかの事情により、配信終了してしまいました。ゲーム会社の存亡や権利問題に左右されるのに限界を感じるので、いっそPCリメイクがあれば今後データがアクセス不可能になっていってしまう確率が減るし、各国語 mod とかも作りやすいのでは…と妄想するのですが……。マーケット的にも奇妙アドヴェンチャー系のゲームは今海外で結構元気なので、塵も積もれば山となる各国のニッチ層にぜひ楽しんでもらいたいゲームなのですがね……。

*1:世にも奇妙な物語』で有名な、はい島邦明さん/文字化けしてしまいますが正確な「はい」の漢字は「くさかんむり」に「配」

*2:いちおう「島」だからこのタイトル