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落語家マトリックス!


久々に落語記事ドーン!
書籍『メガネ男子』で古今東西のメガネ男子を←クール、ウォーム→、↑自由人系、↓委員長系と分類したメガネ男子マトリックスのことをふと思い出して、落語家でやったらどうなるだろーなーなんて思いつき、落語家マトリックスなるものを作ってみました(去年からつくり始めて所要時間合計15時間ほど)。
どんなベクトルだったら分類できるだろう?と考えて、季節感を大事にする落語の世界だけに、横軸は気温ベクトル及び四季感覚に分けてみました。その人でイメージされる季節を考えると、かなりしっくりくる気がします。縦軸は「技巧←→感覚」。キーワードにしてまとめると、こんなイメージです。

  • 技巧:本寸法/古典指向/端正/職人的/丁寧/戦略的/音の出し方、間の取り方、口跡、唄、仕草などの基礎技術が高い、またはそういう方面を目指している
  • 感覚:新作指向/独創性/芸術的/天才肌/自由度/天然/フラ(独特な雰囲気)や人柄で楽しませる要素など


前座も大御所も一緒くたなので、同じ「技巧派」といったって全然レベルが違ったりするし、落語独特の基準、「軽い」「重い」という軸が入ってないのも致命的だと思うので(だからって3次元分類図は物理的につくれん・・)、位置的に近くの人が芸風似てるとは限りません。あくまでこの4ベクトルの中での分類です。そして真ん中ラインにいる人が中庸というわけでもけしてなく、技巧と新しい感覚両方持っているひとは結果的に真ん中になりました。とくに「技巧」という表現においては、「技術が高い」って意味だけでなく、技巧を重視している、技巧的なものを目指しているという意味でもあります。


マトリックスチャートだと、普段はてなで書いてて辛くなってくる、良い←→悪い/巧い←→下手の評価軸から離れられていいな・・。皆それぞれでいいんだよ・・お母さんはそう思ってるよ。


以下、相当落語に通ってる人じゃないとちーとも分からんであろう解説つき落語家マトリックス!(お名前を羅列する場合は敬称略/鬼籍の人が赤字です/数字は代数です)。



ナイス分類として気に入っているエリア:

  • 雲助さんを筆頭にした冬/技巧エリア「今、ちょい悪がカッコイイ!」チーム
  • 秋/技巧の三三・平治・馬生11・談幸の「渋和(しぶ・なご)チーム」、そこから土用/技巧の可龍・左龍・わか馬・扇辰・志ん輔という流れ
  • 司・彦丸・こはる・らく次は「未来の左上方面チーム」。らく次さんは晩秋ぽくない?司さんはクリスマスシーズン〜年末年始。彦丸さん、こはるさんはさわやかな風と高い空に初秋を感じ始めるような季節。
  • 扇里さんは土用の中でも春の終わりと梅雨、そして初夏の訪れを含んだ6月だという気がします。
  • 春/技巧のさん喬・三喬、市馬(この三人は非常に通ずるものがあると思う)、柳家小さん5を中心にした和み系配置。そこから甚語楼、圓遊4、花ん謝、文生、一之輔、初花の流れ。題して「春の朗らか・癒し系チーム」。
  • 吉坊、甚語樓、圓遊4、花ん謝、文生、柳好3の流れは「明るい軽さがいいね」要素も意識しました。あと文生さんと柳好さんは音楽的落語つながりです。柳橋6、鯉昇、文生トライアングルでもある。
  • 扇好・たけ平・志らべあたりから初夏です。
  • 夢吉さんと志らべさんは「基礎もそれなりに巧いんだけど、天才肌っていうか天然肌・・」という組み合わせで相似を意識しました。将来大化けしそうな二人でもあります。
  • 菊志ん→花緑の流れもいいとこついてる気がします。
  • 吉坊(春)→志ん朝(初夏)→染丸(夏)は感性と技術の同居する形が近いと感じています。色気や華やかさがあって音楽的に美しい落語をされる所も。
  • 志ららさんは落語(わりと技巧中段くらいの古典)とマクラ(独創性)の差が激しいので真ん中。栄助さんも最初ド真ん中にしたんだけど、最近シュールさが勝ってる気がするので感覚向きに下げました。
  • 遊馬さんと小遊三さんはそれぞれ金馬3師匠に近い部分があると思います。遊馬さんに大人(たいじん)の風格的なものが出て来たらこういう感じの名人になるのではないでしょうか。
  • 歌笑3(春)→川柳師匠(夏)→歌之介(真夏)の流れ。癖になる独特の調子で聞かせる漫談の系譜、テンション順。
  • 今の談志師匠と昔の談志師匠をわけてみました。冬の技巧から冬の感性へ。志ん生師匠の近くへ。
  • 圓生6、彦六、文楽8、雲助、談春、白鳥、歌之介、こしら、志ら乃などが各ベクトルでぶっちぎりなので全然迷わなかった人々。志ら乃さんの「夏」は最初から「志ら乃さんを落語界で一番高温として考える」って思った。そして圓生師匠と談志師匠は極北だなと。

微妙な分類:

  • 小三治師匠は技術が素晴らしいのはもちろんだけど、針に糸を通すようなカチカチした巧さじゃなくて、マイペース/天才肌的なところがある点で難しかった。
  • 志ら乃さんは独創性もすごいのだけど、でも本当はあの完璧な音楽口調の方が常人離れしてる個性だと思ってるのでやや技巧寄り。
  • 花緑さんも新しい感覚を意識的に取り入れてるのであって、本質的には技巧寄りだと思うのよねー。
  • たけ平さんは本来下の方に位置するであろう漫談タイプなのだけど、漫談の形に対しての姿勢が非常に職人的だと思うのでほんのちょっと技巧寄り。客いじりでさえ口調に隙がなくてリズムがくずれない。
  • らく里さんも新作の時ははじけるけど、本質的にはカチカチした感じなので。
  • 同じ理由で桃太郎さんも新作だけど職人肌なので真ん中らへん。 今輔6さんや圓丈師匠も新作だし発想自体は独創的なのだけど、とりくむ姿勢がすごく真摯で職人ぽいと思う。同じ新作でも戦略的というか。あと圓丈師匠の語り自体は淡々としているし。白鳥さんやこしらさんの自由さとは明らかに違う。


まとめ:
「あの人とあの人って意外と似てるかも」とか「あの人が成長したらこういう感じの名人になるかもなー」とか、「この人は絶対ここだ!」とかそういう発見があって楽しかったです。

続編記事:堀井憲一郎さんと落語マトリックス制作後記 - 今日も生きてる

6/22追記:私がある程度「この人ってこういう感じでは?」というイメージを持っている方の事しか書いていません。当然、現役の方は今まで生で高座を聞いた事がある方のみだし、故人の方は生の高座は見てないけど複数の録音は聞き比べたよ、という限定における感想です。またイメージを多少持っていても「そんなに好きじゃないなあ」と思っている人の事は書いていません。私の好みと経験値の問題で、入ってなかったからって一流の落語家だと思ってないわけじゃないです。例えば、寄席での短い高座を一度聞いたきりの春風亭小朝師など、イメージを語るほど高座を知らないので入れてませんが、彼の行うことに賛否両論はあっても、総合的にその意識の高さ、落語の技術と実行力には敬意を持っています。


お名前一覧(順不同):
三遊亭圓生6、林家彦六林家正蔵8)、五街道雲助立川談春、立川龍志、桂文字助土橋亭里う馬、林家正雀立川談志古今亭今輔5・6、三遊亭司金原亭馬生10・11、昔昔亭桃太郎立川志の輔立川談笑、三遊亭圓丈、三笑亭可楽8、古今亭志ん生立川こしら、立川吉幸、柳家喜多八、立川談修、桂文治10、立川左談次、桂文楽8、柳家三三桂平治、立川談幸、春風亭柳枝8、林家彦丸、立川こはる立川らく次立川らく里、鈴々舎わか馬、入船亭扇辰、古今亭志ん輔、入船亭遊一、三遊亭遊馬、三遊亭金馬3、三遊亭小遊三立川志らら春風亭栄助、三笑亭可龍、柳亭左龍、柳家小さん5、柳家小三治桃月庵白酒、入船亭扇里、春風亭柳橋6、瀧川鯉昇、春風亭一之輔、柳家喬太郎柳家初花、三遊亭歌笑3、三遊亭白鳥柳家小権太、柳亭市馬柳家さん喬笑福亭三喬桂吉坊柳家甚語樓、三遊亭圓遊4、柳家花ん謝、桂文生、春風亭柳好3、入船亭扇好、古今亭菊志ん、柳家花緑古今亭志ん朝林家染丸、入船亭扇遊、林家たけ平、古今亭志ん太、立川志ら乃柳家権太樓、林家たい平、三笑亭夢吉、立川志らべ立川志らく林家彦いち春風亭昇太川柳川柳、三遊亭歌之介