今日も生きてる

落語総括2007


2007年落語の公演に赴けたのは6月〜8月の約三ヶ月間のみなので、大したデータではないですが、いざ記録を整理してみるとそれでも38公演通い、162席聞いて、のべ93人の噺家さんとお会いしました。2006年は私にとって落語聞き始めの年であり、意識的に、一種のストイシズムの域でもって落語ファン活動を第一義とし、深く広く、とにかく観つくそう、網羅しよう、一生の内でそんな時があってもいいじゃないか、という指針で過ごしました。なので、それこそお金だけじゃなく、チケットとりの為に朝5時起きして並んだりとか、連日連戦しすぎて何度も体を壊したり、周囲への義理を欠いたりなど、結構な犠牲を払ってでも通いに通いました。具体的な数字にすると日本に滞在していた間に約半年でのべ110公演に行き、202人の噺家さんの落語を536席観ました。老いも若きも現役で活躍している主な人気者や名人と称される東京落語家はまずほとんど観たと思います。はっきりいって血眼、き○がい沙汰の勢いでした。


で、2007年。
そういう血眼観戦スタイルは今の自分の立場からいって当然分不相応であるし、けして誇れるものとは思っていません。それ以外の事は全部おざなりにしたわけだし。それに、2006年の過ごし方について、「あれだけやったからとりあえず気が済んだ」という次元で満足していました。「ああ、今なら死んだってわたし本望かも」というような、奇跡的に美しい瞬間にも立ち会いました。十分に幸福。道楽人生、そうと知りながら、一度堕ちるとこまで堕ち切ったのです。なので、今年は追っかけのテーマが違いました。「I still love キミの言葉がまだはなれないの」、落語ちゃん!ですが、もうちょっとお互いの事情をわきまえた大人な愛し方に移行しようと思いました。
具体的にいうと、

  • 無理しない(チケットとりにやっきにならない/やっきにならないと取れないような公演は避ける/料金の高い公演もなるべく遠慮する/体力的に無理しない)
  • ほっといても満員の人気者公演より、応援したい若手公演や演者との距離が近い公演を選ぶ

です。


だから、今年行った公演はそういう基準で取捨選択しました。2006年、志らく師匠や談志家元に対して向かっていたような追っかけ方の頻度・労力で、特定の人を追っかけなかった結果、何気に幅広く聞けた気がする。階級データを出すと162席中、前座13席、二ツ目86席、真打62席*1と、二ツ目の席数>絶対数が数倍多いはずの真打の席数というスキモノぶりです。ちなみに上方の落語界には東京のような階級制度がないので、仮に、内弟子・通い弟子修行中の方を前座、修行終了〜芸歴15年前後の方を二ツ目、それ以上の方を真打として換算しました。

それでは色々ランキングの発表いきます!(お名前を羅列する場合は敬称略)

噺家別聞いた席数ランキング(順位/お名前/高座数):
1.柳家初花 15
2.立川志ら乃 11
3.柳亭市馬 6
4.林家正雀立川志らく立川らく次 5
5.入船亭遊一/林家彦丸 4
6.柳家さん喬三遊亭白鳥/立川談修/桂吉坊三遊亭司//立川志らべ 3
7.三遊亭歌之介/入船亭扇里/立川こしら/三笑亭可龍/立川志らら柳家小権太/柳家花ん謝/三笑亭夢吉/立川らく八/立川こはる 2


聞いた噺ランキング*2
1.野ざらし(金原亭小駒/柳家さん弥/立川志らべ/立川志隆)・長短(柳亭市馬柳家喬之助/柳家花ん謝×2)・たらちね(入船亭遊一/三遊亭たん丈/柳亭市朗/柳亭市丸) 4席
2.へっつい幽霊(柳家喬太郎/立川談修×2)・二十四孝(立川志ら乃×3)
4.天災(柳家三之助立川志ら乃柳家初花)・寝床(立川志ら乃×2/柳家初花)・竹の水仙柳家初花×2/三遊亭王楽)3席
9.かぼちゃ屋柳家小三治/鈴々舎わか馬)・ちりとてちん柳家禽太夫/柳家初花)・ねずみ(露の五郎兵衛/入船亭扇里)・七段目(柳亭市馬三遊亭司)・井戸の茶碗立川談慶/春風亭柳太郎)・千両みかん(立川文都/立川志らら)・寿限無立川こしら柳家初花)・桃太郎(桂三金林家きくお)・棒鱈(立川談春古今亭菊之丞)・権助魚(三笑亭夢吉/立川らく八)・湯屋番(立川らく次立川志らべ)・火焔太鼓(桂坊枝/立川志ら乃)・短命(柳亭市馬立川らく里)・紙入れ(金原亭馬生/林家彦丸)・締め込み(柳家さん喬柳亭市馬)・蟇の油(柳亭市馬・立川談修)・豆や(立花家千橘/泉水亭錦魚)・質屋庫(林家正雀/入船亭扇里)・道灌(三遊亭歌すみ/立川こはる)・金明竹柳家ろべえ/立川らく次)・阿武松(三笑亭可龍/柳家小権太)・麻のれん(入船亭扇橋/入船亭遊一)・黄金の大黒(三遊亭きつつき/立川らく次) 2席


2007年に初めて生で高座を聞いた人(面識はあった/録音は聞いてた人等も含む):
三遊亭圓歌露の五郎兵衛桂三金、桂三歩、桂文楽桂平治、桂坊枝、立花家千橘、林家笑丸、露の団姫、金原亭伯楽、天乃家白馬、金原亭馬生柳家さん生、古今亭菊輔、柳家小袁治、桂吉の丞、三遊亭きつつき、鈴々舎わか馬、林家たけ平柳家小権太、柳家さん弥、柳家ろべえ、柳亭市丸、立川キウイ、立川吉幸、三笑亭春夢改め三笑亭夢吉、三遊亭たん丈、三遊亭歌すみ、立川こはる、立川らく兵


行った場所ランキング:
1.お江戸上野広小路亭/お江戸日本橋亭 4回
2.池袋演芸場(一回昼夜居続けで3公演)/上野鈴本演芸場/日暮里サニーホール/文化放送ディアプラスホール/キヨビスカ 2回
ほか出没場所(縦横無尽!):霞ヶ関イイノホール/目白カフェル・プティ・ニ/武蔵小山イベント・カフェ・アゲイン/六本木不動院/内幸町ホール/銀座博品館劇場/大阪天満天神繁昌亭/太田区民プラザ/新宿末廣亭/有楽町よみうりホール/横浜にぎわい座横浜市港北区樽町地域ケアプラザ/江古田樽平/町田市小山226にある倉庫/湯島落語協会二階/石神井公園葵寿司二階/高輪区民センター


そして!!!良かった特選高座!!:

  • 4.
    • 川柳川柳 『ガーコン(主任用ロングバージョン/『ラ・マラゲーニャ』つき)』7月26日 平成19年7月下席昼の部 上野鈴本演芸場 →日記
    • 立川志らく 『小言幸兵衛』 6月22日 下丸子らくご倶楽部 太田区民プラザ小ホール →日記
    • 立川志ら乃 『天災』 6月21日 美形って何だ!?〜ぴあMOOK落語ワンダーランド登龍門出版記念落語会 内幸町ホール →日記
    • 春風亭一之輔 『引っ越しの夢』 8月3日 日本演芸若手研精会 お江戸日本橋亭 →日記


寄席興行ベスト:8月9日 平成19年8月上席夜の部 池袋演芸場 →日記
小規模落語会ベスト:
6月14日 市馬落語集 お江戸日本橋亭 →日記
6月21日 美形って何だ!?〜ぴあMOOK落語ワンダーランド登龍門出版記念落語会 内幸町ホール →日記
6月28日 若年寄の会 横浜にぎわい座のげシャーレ→日記
8月17日 三遊亭司独演会『今夜この噺はボクのもの』→日記


でも・・・実は今年一番最高に感動して楽しかったのは落語じゃなくて、超・特・別・賞・兼ホール落語会ベスト1:
7月14日 大銀座落語祭2007「立川談笑の世界」「立川志らくの世界」の【第二部 立川志らくの世界】に於ける柳亭市馬立川志らく昭和青春歌謡ショー!!!!!
とくに柳亭市馬師匠による『俵星玄蕃』!!!!!!
惚れた!痺れた!妊娠した!!(※妄想)
いやーーーあれは本当に奇跡体験アンビリーバボーだったね!ビリーブインマジック!柳亭市馬師匠はCD出して紅白出るべき!!!もうあんな格好いい人間に遭遇したら日本中がぶっ飛ぶって絶対!!落語の方も今年結構通ったけど毎回かなりの高打率で素晴らしかったです。
落語協会サイト内プロフィール/動画あり


個人的落語家・オブ・ザ・イヤー:林ーーー家ーーーー正ーーー雀師匠!!!(公式)怪談の旬である夏だった事もあって怪談噺の名手である正雀師匠にはめっちゃハマったわーーー!!もーーー超カッコイイ!渋い!正雀師匠の怪談は単に怖いだけじゃなくてすごく切ない・・人間の情愛や悲哀に溢れているのよね。怪談にはこういう解釈もあるんだーっていうのがすごく新鮮だった。あまりに感動しすぎてぷんごい長いラブレター(手☆書☆き)を書いたんだけどあまりに長過ぎて濃すぎて何度も校正して煮詰まって最終的に自分で引いて出してないです。でもそれ位好きです。
落語協会サイト内プロフィール/動画あり

オイオイ・・堰を切ったように愛しちゃってるぜ!!オブ・マイライフ:立川らく次さん(鈴木雅巳氏のサイト内にある志らく一門写真
だってもう二ツ目になったんだよ!だってもう二ツ目になったんだよ!だってもう二ツ目になったんだよ!!今まで前座さんという立場から追っかけができなかった*4分の愛情が噴火して湧いて溢れ出してほとばしってる!なんか「アレ?前から好きだったけど、こんなに好きだったっけ?」という位、らく次さんが二ツ目になった瞬間から自分の中で何かが弾けてズギュウウウンッ!と超別格扱いに。たぶん今わたしの「優先順位」トップにいる人です。言った!言っちゃった!自分でも何故こんなに好きなのかもうわからなくなってくる位に好きになってます・・(キモイ)!だってエクセルにデータ入れててもさー、階級欄に「二ツ目」って打っただけで超ニヤニヤしちゃったよー!あーうれしい。2007年で一番いい事はらく次さんの二ツ目昇進だよ!


超ウルトラ新人賞:立川こはるさん(立川流一門会内プロフィール)(落語の蔵ブログ内写真
私にとってアイドル(=かわいくて真剣な女子が好き)×落語家×黒ぶちメガネというトリニティが具現化した奇跡の人。おまけに声よし、口調よしで、健気、まっつぐ、漢前、しかも博識、知的、気が強くて超絶強面な談春師匠にも逆ギレ、後輩に超怖いなどのエピソードもカッチョイイ・・なのに照れるとすごい女の子らしくてキャワイイ!インターネットでメガネ女子ツンデレだといってるような人達はこのすごい人材に注目するべきだよ!ていうかもう本当素敵すぎて男の子だったら結婚してほしい・・。まじこの人はとてつもなく大きくなって歴史に名前を残す人になるんじゃないかと私は睨んでいるよ。


!!以上!!
ありがとうありがとう落語家の皆さん!今年も大好きだよ!
あと、こんな超ながい日記を読んでくれたあなたにもありがとう!!

*1:1余るのは立川志隆さんの一席をセミプロみたいなものとして合計席数に数えましたが、階級には当てはまらないからです

*2:夏だけなので季節ものにどうしても偏るね

*3:噺は微妙だったのだけどやっぱりマクラが良かったので評点困難の末ココに..

*4:説明しよう!前座さんは師匠のお付き的存在なので決まった予定がまず公表されないのだ!