今日も生きてる

立川らく里・らく次・志らべさんたちに関する私なりの理解まとめ


晴れて二ツ目全員祭 - 今日も生きてる
を編集していたときに、「三人それぞれ被ってなくていい」と書いたあと、具体例をあげてたら、二ツ目全員祭の感想としては冗長になりすぎたので改めて別の記事にします。


三人それぞれに良い所:

  • らく里さんの強みは古典の型をかっちりやれる精度と教養、はきはき・トントンとした「リズム寄り」で耳ざわりの良い口跡、そしてブラック師匠ゆずりの良い意味で意外性と毒のある新作。遺伝子的には志らく師匠、ブラック師匠だけでなく、龍志師匠等ほかの立川流高弟の影響も強いと思う。そして苦労人の苦みばしったかっこよさを醸せるのは三人の中でこの人だけだ..。志らく一門が苦労してないとはいわないけど、比較でいえばやっぱり師弟・兄弟弟子間で殺伐とか、協会が..とかしがらみ薄めだからなぁ。型にはまらないとか、落語や芸の修行に集中できるという意味では強みなんだけど、自由から得るものもあれば失うものもあると思う。たぶん営業力もこの人がイチバン。ファンを大事にしてる努力が見える。これは今後とくに強みになるだろうし、劇場とかプロダクションなどの運営・企画関係者にも、そういうフォローアップがきちんと出来るんだろうな..とか想像する。お礼状とかマメにくれるとうれしいもんですからね。でもこのイメージに対して「意外とソツがなく..ないらく里さん」的逸話も聞くし、そういう瞬間を見た事もあるので、あれですごく努力して「ソツがない」を作り出してるのかな、と思うと..も、もえる(オイ!)。似合うと思うキャラは丁稚や子供。
  • らく次さんには、らく里さんのとはまた違う、どっちかっていうと「歌寄り」の口調の良さ、色気と鋭さと深みのある低音美声がある。こちらは「耳ざわりが良い」というよりは「格好いい」音の良さ。根本的な落語に対する考え方や教養、という意味ではもちろん志らく師匠の影響も受けているのだけど、古典職人肌の気骨、ちょっとヒネくれたような味のある可笑しみセンスは、セミ弟子のような関係になっていると思われる談春師匠の遺伝子が色濃い。あと直接志らく師匠の影響、というより、志らく師匠に似ているところの志ら乃さんの影響、というのをけっこう感じる。「このセンスは志ら乃さんぽいなあ」っていう時がある。一番口調速いし。また不動院トークにおけるらく次さんのツッコミ力にはいつも脱帽..マクラやMONTHLYラクジなどでこそっと呟くシニカルな一言もじわじわ面白くていい。そして、落語への愛情、落語家としてそれを演ずる事へのストイックな気迫と集中力は三人の中で一番強く感じて打たれる。似合うと思うキャラは武士、若旦那、『宮戸川』の半七などの青年期男性と、『親子酒』などの親父さん/おじいさん。
  • 志らべさんは、上二人が陰陽でいったら確実に陰の芸なのに対して、明るく伸びやかな陽性の芸。お客さんを身構えさせず、「気がついたら笑ってた」みたいな楽しませ方が出来る人。華があって天才肌..というか天然肌!けして基礎がなってないとか、口跡が悪いというわけじゃないのだけど、そういった技術点以上にこの人は豊かな感性から生まれる芸術点が高い。こと、『権助魚』など、ハマリ根多に当たったときの爆発力も飛び抜けている。性格が素直でドジッ子でかわいらしくて、ビジュアルが普通にさわやかで、笑顔のすてきな好青年...だと客観的に思うので、一番一般受けしやすそうな気がする。でも素直でドジッ子=甘めな性格かと思いきや、マイペースで人に媚びる所がないのも好感を覚える。三人の中で一番純粋に志らく師匠のみの遺伝子を感じる。田舎者、粗忽者、権助など、トボけたキャラをやると絶品。


すごい、見事にかぶってない!いやーやっぱ特徴まとめてみると本当にこの2000年同期三人はそれぞれの良さがあって面白い。心から行く末が楽しみ。