今日も生きてる

しゃべれども しゃべれども


新宿武蔵野館で、上映最終日最終時間の回をぎりぎり見た。しかもなんか用事してて最初の20分くらい見過ごした(なんの用事してたか今これを書いてる時点でもう忘れてる子)。原作は読んでるので筋はすぐ追いつけたから良かった。

寄席の前でぶすっと待つ香里奈ちゃんがツボだった。凛々しい怒り顔が似合う女の子はすてき。しかもあの浴衣すごいイイ色でうらやましい。ほんもの落語家さんでは、三三さん、遊一さん、彦丸さん、馬吉さん視認。三三さんにはセリフもあって、おおっ、と思う。主人公の三つ葉などは完璧な創作の名前だけど、「小三文師匠」っていうのは明らかに「小三治師匠」から来てるので、聞く度音だけでどきっとした。


先に見た周りの人間が絶賛してた村林少年は本当に良かった。太一くんの落語も良かった。『火焔太鼓』の実演部分があんなに入ってるとは思わなかったし、質も良かった。テープ聴きながら『火焔太鼓』の口太鼓を練習している場面と、お腹下しながら『たらちね』をぶつぶつ言い続けてるシーンが好き。小三文師匠の「酒が入ってた方が出来るんじゃねえか?」はいかにも落語家っぽい褒め方でいいセリフだなと思った。


全体的に悪くない映画だったけど、ラストはちょっとイヤです。原作でもやや違和感ある終わり方だったけど、原作以上に映画のラストはひどい。
風景として、都電荒川線が何度も出てくるのは心憎いとおもった。都電荒川線とか世田谷線とかいいよね。


映画館を出てから世界堂寄って、駅方面に引き返すと、すきなひとで何度かお話しもした事ある噺家さん・KKさんに末広通りの前で遭遇。駅まで一緒に歩けてちょっとラッキーだった。


あと少なくとも今の自分にとっては、誰の『火焔太鼓』を聴いても、たとえ名人の録音をソデにしても、「私にとって『火焔太鼓』は志ら乃さんの根多だから」って思ってしまうので、映画の中でもずっと志ら乃さんの『火焔太鼓』を思い出してた。志ら乃さんの当たりネタが心に占める割合は本当に強いです。今だかつて誰にも負けないあの人だけの根多が幾つかある。それって本当にすごいんだけど、心から、私の素直な気持ちが感じる所として過言じゃないです。