キヨビスカ落語会Vol.2
ということで、やってきました今回の帰国のメインイベント、われらが初花兄さん*1をお迎えしてのキヨビスカ落語会Vol.2。表だって書くべき事は公式の方に書いてあるので、こっちは製作裏話的なことを話せる程度に・・。
・前回はとくにリクエストなどはしなかったのですが、20日の『初花のタネ』で初花さんと会った時におずおずと前々から秘めていた想いの丈をぶつけて事前交渉:
私「・・根多何やるか考えてますか?」
初「いいえ特には・・“私がせっかく来てやってるのに聞いた事ある根多聞かせるつもり?”*2とか思ってるんでしょ〜?・・ちょっとこの所予定が詰まってるので*3最近やってない噺を準備するのは難しいから、たぶん『猫の皿』*4とかかなぁ。」
私「あのーリクエストしても、いいですか?・・・『反対俥』と『崇徳院』なんてどおですか?」
初「(ちょっと困った顔で)ええーー??」
私「だって、だって、『反対俥』と『崇徳院』、私まだ聞いてないのにさー!なんかネットとか見てると評判いいんだもん!気になるじゃないですか!聞いてみたいよ!(だだっ子席亭)」
初「うーん高座だいじょうぶかな」(『反対俥』だからね)
私「あれ結構安定してるから大丈夫だと思うけど・・でも、初花さんが嫌だったら他のでもいいんですよ。もちろん。」
初「結構激しく動くよ?」
私「え、ど、どんだけ?っていっても私見た事無いから分かんないや。やるとしたらちゃんとリハして確かめてからすればいいんじゃないかな」
初「まあ考えときますよ・・」
・後日、初花ちゃんから「反対俥と崇徳院やるよ」メッセージがカミングイン!やっぱりねだって良かった!その後「番組の食い合わせ的にどうなのか」とかいろいろ懸念を示されたものの(私はこの食い合わせで全然いいと思ったのだが・・)、「これはあなたの会だからね」と飲み込んで結局リクエスト通りにやってくれました。しかも『反対俥』で着物が乱れるためにこういう地域落語会では珍しくお色直ししてまでも。
・『反対俥』における高座の安全性に関しては、結局問題なく済んだものの、やっぱり身の危険を感じながら勤めていたらしく、「壊れそうで怖い」と初花ちゃんが言う度に「ごめん、ワガママ言ってごめん!」と申し訳なくなりました。最前列に座っていた落語仲間*5いわく「いまだかつてない臨場感の『反対俥』だった」、それどころか「初花さんに殴られそうだった」とまで・・!でも落語自体は好評だったので何よりでした。聞き及ぶ通り、初花さん独自のたのしい『反対俥』だったので、やっぱり頼み込んでまで聞けてよかったなあ。役得、役得。
・表ブログでも書いた通り、予定の二席にプラスして仲入り後『道灌』を一席。
- 「ダイアの乱れから遅れていらっしゃる方が多く、初花さんの提案で他のお客様にご了承頂き三席の口演となりました。」これも本当なのですが、
- やっぱり初花さんは食い合わせが気になったのかしら・・!
- じつは開演前に初花ちゃんとアツい芸談を繰り広げてるとき、昨日の市馬さんの話から「やっぱ前座噺って大事だよね〜」という意見一致で盛り上がった。
そんな理由もあると思います。
お客様への気遣い、芸への志、その他もろもろ、柳家初花はいろいろ考えている人ですから。そんな所が応援していきたい理由でもあるのです。
・こと私は『道灌』を聞く度に、その噺家さん個人の事だけでなく、背景にある柳家(この場合立川流含む)の伝統と未来まで想いを馳せてしまう位、この根多に強い想い入れがあるので、初花さんの『道灌』を聞きながら、目には見えない尊い何かをひとつずつ触って確かめられたような、何とも言えないうれしい気持ちになりました。
・『崇徳院』も大好きな噺なので、微笑ましく聞く。笑えるというより、楽しい、微笑ましいよね。『宮戸川』もそうだけど、こういうかわいい色恋ものはツボ。
- 志ら乃さんと初花さんが『崇徳院』(志ら乃→初花)と『悋気の独楽』(初花→志ら乃)を交換した事を初花さんから聞いていて、
- しかも私は志ら乃さんのファンでもあり、『崇徳院』も聞いた事がある。
- ということも初花さんは知っている。
そんな面倒くさいヤカラが居ては、さぞやりにくいと思われても仕方がなかろう、そう自覚しつつ、でも初花さんのだって聞きたかったんだもん!で押し切る。まあ初花さんだってそこはそれ、プロですからね。
また私としてもネタが被ってるからって嫌らしい気持ちで比べたりしてたら、こんなに幅広く落語ファンでいられないもの。ちゃんとおいしく別腹でいただきました。元が同じ型だったとしても、にじみ出てくるのが落語家の個性、そしてその違いを味わうのがファン冥利につきる、むしろそう思います。
ちなみに同日同時間帯に下丸子で志ら乃さんが『悋気の独楽』をやっていた、という偶然ここにあり。
・初花さんに「前回マクラ何やったっけ?」と言われて「そっか、そういうのも被らないためには記録した方がいいんだー!」とハッとする。手遅れにならないうちに、お店側の記録として残している『キヨビスカ落語会ノート』へ前回のマクラを思い出せるだけ書き込む。今回のマクラは被るも何も世界バレーの話1割、「ここの会と席亭の話」9割だった。
- 初「この会はとてもユルーイ会でして、どれ位ユルイかというと、私の横の文字見て下さい・・ユルイでしょ」
初「・・すみません、ちょっとここの席亭は日本の漢字からしばらく離れていたもので」
初「5年3組○○○○○*6って感じですよね」
開演前お店に入って来た時には何もツッコまれず、むしろ「お、ありがとうございます」とかゆってたのにやっぱり下手だと思ってたんだね!!確かに、まあ、下手だけどサ・・。
- 初「この人は本当ーーに凄いひとですよ。19日に帰国しまして、20日にさっそく私の独演会に来て下さったんです。それで打ち上げで言った言葉がね。『わたしは初花さんの会に来る為に帰って来たんですよ』*7・・・ってそんな事いわれて私は何と返せばいいのでしょうか・・航空費は払えませんからね。」などなど、不肖ワタクシの落語キチびっくり武勇伝をとうとうと語られてしまいました・・。
・最後になりましたが、表ブログでも書いた大事件ですよ!
あの、あの、あの、『散歩の達人』に取材されましたよ!すっごい色んな運が重なってのラッキーとしか言い様がないんだけど!
- もともと、『散歩の達人』さんが成城・祖師谷・経堂特集号を来年1月20日発売の2月号で企画していた
- その取材に当てられた期間がたまたま今年の12月前後
- ちょうどキヨビスカが祖師谷イチオシのお店として取材されるリストに入ってた
- さらに私のmixiマイミクさんで『散歩の達人』関係者がおり、この落語会の存在も知っていたので、お店の通常営業の紹介だけじゃなくて、「落語会なんてのもやってるよ」という写真を使った方が面白いと思ってくれて、12月より少し早く落語会に合わせて取材に来てくれた
という、重ね重ねの巡り合わせでこの機会を頂きました。
1月20日発売ということで、速攻席亭さんの目が光り、「ちょうど3ヶ月後でタイミングもいいし、この号発売後からあんまり間を開けずに落語会やるっきゃないよ!」と飛び上がって予定調整。飛び上がったわりには3月3日になりました。
『散歩の達人』は読者層的にも落語に興味のある人多そうですし、月刊誌ながらも特集エリアの書店にしばらくムック扱いでおいてもらえてたりして非常に息が長い雑誌なので、この話はものすごーーーーく有難い。なにかの事情で流れないことを切に祈ります。