今日も生きてる

落語バトン1.2Ver.


ミクシィでもやったのですが、友人のみ公開なので質問を幾つか増やしてこっちでも。全回答3つずつというシバリを無視したり、勝手に新しい質問だの萌え枠だのをこさえてりやりたい放題の1.2ver.です。一応どなたかがこのバトンをやって下さる事を前提として質問文には「三人/三つ」の記述を残しておきます。


下記が最初にミクシィで回って来た時の質問条項。
●好きな噺を三つあげてください。
●あなただけが知っているかもしれない、噺家さんのニッチーな仕草トリビア的仕草を教えてください。
●今までに見た高座BEST3を教えてください。
●おすすめの寄席・会場を教えてください。
●次にバトンを回す人3人。おねがいします。


これに加えて
いくっちさんが質問を加えて回答した落語バトン ver.1.1
http://blog.livedoor.jp/p-2011343/archives/50891877.html
を経由して1.2ver.を作ってみました。
結果的に殺人的に長い回答になってしまいました。何においても常に過剰な性(さが)は治りませんね。


●好きな噺を三つあげてください。
厩火事
なんかもう自分の中で厩火事以上にズッキューンとくる噺はいまだかつてないです。セリフ全ていい。あのオチのセリフなんて最高に絶妙でもだえる。ちなみに私は「この二人はちゃんと愛し合ってて、このオチは旦那の照れが含まれている」という解釈です。

他四つ、『たちきり』『替わり目』『宮戸川』『野ざらし』
あたしは恋愛バカって言われてもいいのよ?と言っておく。
宮戸川』は生々しい表現までいかなくて甘酸っぱい気持ちにさせる演出のが好き。
『たちきり』は賛否両論だと思うけど、私は私なりの解釈と想像でそれぞれこういう気持ちでああなったんだろうなーと結末にも共感できる(この解釈を細かく書くと秀逸なオチのネタバレになってしまうのでここでは書きません)。
『野ざらし』だけ恋愛ものではないですが、音楽的なセリフ回しの気持ち良さと軽快で楽しいアホらしさが好きです。どちらかと言うと太鼓の皮の説明をマクラで触れておいてオチまでやってくれた方がいいな。


●苦手な噺を三つあげてください。
『壺算』、『ぞろぞろ』、『たがや』、『新聞記事』、『柳田格之進』。
特定の愛してる人以外の『かぼちゃや』、『片棒』、『鮑のし』、『権助魚』、『人形買い』、左甚五郎もの。私は買い物が出てくると苦手なのでしょうか? あと、『牛ほめ』と泥棒噺も寄席で聞き過ぎてて食傷気味。『たらちね』、『道灌』に連なる根問物、『子ほめ』、『浮世床』、なんかは飽きないんだけどねー。上記の中で、別格!と思えたのは三喬師匠の『新聞記事』、志らく一門の『鮑のし』、さん喬師匠の『締め込み』。バンバン改作しちゃう人の『片棒』は好き。『天災』と『火焔太鼓』も志らく志ら乃を聞いてしまってからは他が物足りない..。


『柳田格之進』は思想がいけすかない。『文七元結』的江戸っ子美学とは違ってただ格之進さんが我を張ってるだけだと思う。『新聞記事』は地口ばっかりなので一回目以降は誰のでも辛い。『ぞろぞろ』は何か・・味気ない。『たがや』は目下「あの人のなら好きになれそうかも」と期待している人はいるけど、今の所いまいち「何が楽しいの?」と引いてしまう。


●好きな噺家三人とその理由をあげてください。
立川志らく 柳家喬太郎 三遊亭白鳥 立川志ら乃


この人達に関しては単純に落語だけじゃなくて「全体的に好き」だなあと思います。文筆とかトークを含めて。こと文筆作品を一番読む機会のある志らく師匠は「とにかく落語が本当に好き」っていうのが全面に出ている所が愛おしいです。割合極端な人だと思うので一つ一つの細かい考え方に全て同意出来るわけじゃないですが、芸術家としての情熱に打たれます。あとこの四人のうちで誰一人つまらなかった高座というものが皆無。外れなく面白い人達。人間的に好きだから調子の悪い高座でも「とにかくこの人の噺なら聞けてよかった」と思うのかもしれないけど。


●今萌えている噺家三人とその理由をあげてください。

和み枠: 桂文生 瀧川鯉昇 柳亭市馬 入船亭遊一 柳家初花
柳家フォーエバーです。なんでこんなにしあわせにしてくれるの、って位和む。あとここに書いた人たち皆いい声です。ポイントは下町的親しさを保ちつつも、朗らかな品がある所、そしてお客さんに対する温かいやさしさがほわーんと漂ってくる所ですね。文生師匠なんてそれこそ海外生活後にこういう人の落語を聞かされたら心がほぐれ過ぎて笑いながら泣いちゃいそう。


格好いい枠: 柳家小三治 林家正雀 五街道雲助 入船亭扇辰
端正って、粋って、こういう事ですよねと思う。渋い。小三治師匠のえりまきになりたい(私服写真の時いつも巻いてらっしゃるアレ)。正雀師匠の手ぬぐいになりたい。何だかそういう、身の回りの物になりたい。


母視点枠(←キモイけどそうとしか言い様がない): 立川らく次

素のひねくれている所と落語に対する真っすぐさ、若いのに往年の名人たちのようなジジ渋い味わい、驚くべき成長速度と芯が一本通っている姿勢のいい高座が好きです。そしていい声低音部門賞。


●別格な噺家三人とその理由をあげてください。

立川談志
私にとっての絶対神。まず根本的に「圧倒的な落語への愛」に打たれる(で、そういう部分をお弟子さん達の中で一番感じるのが志らく師匠だと思う)。
最近読んだ落語好きのブログで「衰えた談志を見たくない」的言論を読んだけれど、私は逆に肉体的に衰えてもなお落語を止められず、昔とは違う新しい何かを模索する事を止められない、その家元の姿こそ落語の神髄だと思う。見苦しかろうとなんだろうとあがいているから、人間くさいからこその美しさだと思う。
もはや落語が巧いとかよりも「生きている人間そのもの」を見せつけられて、美しいと思わずにいられない。そして家元以上に素敵な表情をする人を今まで見た事が無い。その一点では「談志萌えー」とさえ言える。あの終演後の笑顔とか、家元のかわいいおばあちゃんを見るためだけに5千円払ってもいい。


川柳川柳
いけしゃあしゃあで可愛らしくて、情けないのに格好いい。死んで花実が咲くものかといいますが、老いてこんな大輪の花咲かせられるならジジイババアになるのも楽しみですよね。


●好きな故人の噺家を三人あげて下さい。

三代目春風亭柳好、八代目林家正蔵(彦六)、三代目三遊亭金馬、六代目三遊亭圓生、八代目春風亭柳枝、五代目柳家小さん、十代目金原亭馬生。名人ものはまだまだ聞き込みが足りませんが、まあやっぱり名人とまで言われる方々は大体いいですよね。


●あなただけが知っているかもしれない、噺家さんの癖や仕草など、トリビアを教えてください。

「骨格が似ている人は発声の癖が似ている」説。なんていうのかな、単純に声色っていうだけじゃなくて、息の出方とかが似ています。


例:志ららさんと錦之輔さん(マジマジ!これ大発見!)、志ら乃さんの速い時は若い時の家元に(比較資料『反対俥』)、志ら乃さんのミドルテンポの時は鯉昇師匠に似ている(比較資料『時そば』)。


あとねえ、名人の音聞いてると「自分の歯の人と入れ歯の人」も分かる。圓生師匠と小さん師匠は自分の歯。三代目金馬師匠もそう聞こえる。「落語家は歯が大事、だから圓生は死ぬまでいい口跡だった」って川柳師匠も言ってたよ。


ちなみに最近聞いたぽっどきゃすてぃんぐ落語配信の入船亭遊一『干物箱』で遊一さんのご実家が剣道場というトリビアに、「いい、それ、いい!」と胸ときめかせた女子は私だけじゃないはず。遊一さんの『干物箱』自体も寄席で聞いて好きだったので、配信を心待ちにしてた期待通りだよ。いい声だなー。


●今までに見た高座BEST3を教えてください。
立川談志 『黄金餅』(平成18年7月・ボクらの圓朝祭・イイノホール
立川志らく 『文七元結』(平成18年5月・葵落語会・葵寿司)
(※50人規模の座敷で最前列という至近距離、しかも50分くらいたっぷりバージョンという好条件。私は志らくさんが久しぶりの噺を思い出しながらやる時のたっぷりバージョンが結構すきだったりします。)


以下同位入賞的な感じで、
柳家喬太郎 『心眼』 三遊亭白鳥 『腹ペコ奇談』 柳亭市馬 『青菜』 柳家さん喬『替わり目』 入船亭扇辰 『たちきり』 川柳川柳 『ジャズ息子』


●おすすめの寄席・会場を教えてください。

  • 池袋演芸場の親密さと新宿末廣亭の懐かしさがどっこい位で好き
  • にぎわい座(会場の音響効果、距離感も丁度いいし、職員の態度がいい) 上野広小路亭(思い出いっぱい。ここぞホーム。) 黒門亭(これも親密な感じがいい)


●おすすめの定期的な落語会を教えてください。
身内以外であげるオススメ地域寄席シリーズ。

落語はもちろんの事、しらかろトークが面白すぎる。この二人でしか聞けないミラクルな化学反応。常に安定してお祭り的な楽しさを提供してくれるバランスのいい会。

神楽坂という立地がいい。神楽坂の皆さんがやる気まんまんなのも好感度大。この会に行って神楽坂住みたくなりました。高座との距離感、会場の雰囲気、人口密度、文句なし。そしてそんな会場・スタッフ・お客の良い雰囲気にサポートされてか、出演者お三人方も他より高打率だと思われます。

ヤツラが好き放題に弾けている。当たるとオカシイくらい気分爽快になれる。「聞く」というより「浴びる」というような感じで出演者とお客が体当たりし合っているイメージ。この会の後楽しくなりすぎて飲み慣れない量のお酒飲んで大変だった事があります。

もしも私が「百発百中・チャンス一回で落語初心者さんを落としたい場合に最も無難な噺家さんは?」と聞かれたら志の輔師匠をお薦めすると思う。しかしもちろんネックはチケット競争が激しい所と会場が大きすぎる所。その両方を考えるとこのにぎわい座の会は定期的にやってて、会場広すぎず、良い席がとりやすいので正に無難オブ無難な鉄板チョイスだと思われる。


立川流が続いたので最後もう一つ立川流以外で。

  • ル・プティニ寄席(目白)(偶数月・平日・20時開演)(入船亭扇里・遊一)

超ーーー和む。そのひとこと。じつはキヨビスカ落語会を開こうと思ったきっかけの一つだった。小規模なので行く末がちょっと心配だけど、これからものんびり続いて欲しい。仕事終わらなくて19時開演に間に合わないよ、というような貴方の疲れた脳にもたれず、つかれず、丁度いいアフター8落語をお茶会気分でごゆるりと。