今日も生きてる

うさぎを巡る冒険〜市馬さんのすきなもの〜


ある会である柳家の落語家さんがしていた楽屋噺。
市馬さんは大の甘い物好きだそうで、寄席の主任をとっていたとき、高座で「うさぎやのどら焼きを差し入れされると嬉しい」と公言したところ、お客さんが来る日も来る日も「うさぎやのどら焼き」を持って来てしまい、ついにはお客さんがうさぎやのその日のどら焼き在庫を買い占めてしまって、あるお客さんが楽屋に来て「すみません師匠、今日はもう売り切れでした」と言うと、「いやあ、それが楽屋には売るほどあるよ」なんていう落とし噺のような事があったそうだ(まあ楽屋噺なので最後は脚色かもしれないが)。


後日私も「市馬さんの好物」とは一体どんなものかしら、と是非あやかってご賞味したく思い、インターネットで調べてみると都内にどら焼きを名物とする「うさぎや」は上野*1日本橋*2にある事が分かった。


上野店は丁度黒門亭からごく近いので、昼夜で黒門亭に行く機会があったとき合間の時間に赴いてパクリ。店員さんから渡された時、生まれて初めてまだホカホカしているどら焼きに触れた事にどきどきした。そして食べてみてまたびっくり!本当にそれまで食べた事のある「パッケージ売りの出来立てじゃないどら焼き」とは比べ物にならない、今だかつて味わったことのない柔らかい食感と香ばしい風味が口の中に広がった。オーザッツニューワールド!これはすごい。確かにすごい。何ともやさしい幸福感。


続いて日本橋店にチャレンジ。ちょうど渡米前日の日、お礼をしておきたい方の職場が日本橋の隣駅だったので、そちらへ行く前に途中下車し、もともと他に用意してあったおみやげとは別に手みやげとして購入。できたてを食べなければこのおいしさを伝えられないので、とりあえず四つ買って一つすぐつまみ食い(オイ!)・・・してみると、タイミングが悪かったのか、ほかほかしてなかった・・。
せっかくその某氏にもあの“しあわせの味”を届けたかったのだが、残念無念。でも勿論まずいわけではないし、他のネット上の批評を読むとどうやらほとんどの人が日本橋店の方を評価している。よっぽど運が悪かった説をとり、今後買う時は出来たてかどうかを店員さんと掛け合う事を注意したい。


更に今調べていたら、上野のうさぎやさんの孫が始めたらしい阿佐ヶ谷店もあるそうだ。こちらも中々の評判のようである。


先日、ご存知小袁治師匠のマックニュースで紹介されていたのは上野店だし、場所柄的にも、たぶん市馬さんの言っていた『うさぎや』は他の二店舗ではなく上野店の事であると思う。落語はげにげに周辺文化も幅広く楽しめるのが素敵な所。いとしの市馬兄貴を思い浮かべながら食べるおいしいどら焼きはしあわせの味がしますよー(妄想肥大注意)。


噺家いきつけの「安くて旨い乙な店」に紹介されている所にも何カ所か行ってみようとする機会があったのだけど、営業時間に間に合わなかったり、予算が足りなかったり、諸々の理由でまだどれも挑戦出来てない。またいずれ着々と制覇してみたいです。「小福」「みの家」「天庄」「翁庵」「天春」「鮨よし」などにかなり惹かれました。


ちなみに余りにも単純すぎる話ですけど、私は落語ファンになってから毎日食べても食べても恋しくなる位そばっ食いになってしまって本当にほとんど毎日食べています。朝食でも昼食でも夕食でも夜食でもどのタイミングでもいけます。一日二食そばでもオッケーです。特に最近突発的に以前の食いしん坊の私では考えられないほどアッサリしたものしか体が受け付けなくなってしまったので蕎麦か素麺か野菜ばっかり食べてます。


コードネーム「立川流ゆかりの二階に座敷がある鮨屋」も渡米直前に池袋の落語仲間捕まえてもう一度ちゃんとお寿司を食べに行ってみた。けれど、大将からイキのいいネタを聞き出すにはもっと常連にならなきゃいかんねえ、と気圧されて帰ってきた二人でしたね。

*1:こちらだけが公式サイトです

*2:本店