今日も生きてる

大銀座落語祭2006“珍品堂2”

平成18年7月17日 於:ギンザ・コマツ・アミュゼ

ーお番組ー
12:00〜14:15くらい*1
林家染左 『江戸荒物』
瀧川鯉昇 『てれすこ
柳家さん喬 『徳ちゃん』
<お仲入り>
むかし家今松 『茗荷宿』
林家染丸 『蛸芝居』


全て珍しい話でしょうから解説しましょう。


・『江戸荒物』は、「江戸から仕入れて来たもの」と偽って高く売る為に上方の商人が付け焼き刃で江戸っ子の真似をして江戸弁を喋るが、もちろん、おかしな言葉の使い方を連発して成功するはずもなく・・という、逆『金明竹』みたいなお話。にわか仕込みの江戸弁なので、時々外人みたいになってしまう商人がおもしろ。ただサゲがねえ。これが言葉の壁なのか、なんと、肝心のサゲが何のことやらわからなかった。今は調べたから分かったんですけど、これは初めて聞いたんでは分からないよう。


・『てれすこ』長崎のある海岸で、誰も見た事のない魚が発見され、その魚の名前を知る者には懸賞金百両が与えられる事になる。鯉昇さんは今日もふわふわした雰囲気が魅力。あんな顔なのにね。なんともかわいらしいのだ。人を幸せな気持ちにさせる「和」の空気を持っている。


マクラで「鯨が海岸に打ち上げられたら、土地の人々はごはん茶碗を持っていく話」「脳の検査をしたんですが、中に何も入ってないと病院の裏庭が写るって仲間に脅されまして」ああ、かわいい。鯉昇さんが「ごはん茶碗」とか「うらにわ」とか「てれすこ」とか「すてれんきょう」と言うだけで、<味かわいい>魔法がかかる。ただその言葉の響きだけで、人をしあわせに出来るのが噺家というすごいヒトタチなのです。


・『徳ちゃん』貧乏噺家の二人組(うち一人が「徳ちゃん」)が安さに惹かれて客引きに連れてかれた廓は、やっぱり世にも恐ろしいヒドイ見世。部屋もボロボロ、花魁はドロドロ。ちなみに私が想像した世にも恐ろしい花魁は、「談春さんが『棒鱈』やった時の田舎侍がもし女だったら」的映像。こ、こわいぞー!それじゃあ時事通信だ。


さん喬さんも、たいして言葉自体は面白くない一言が、その言葉の響きだけで「生きて」しまうお人。「バーモント州って言ってもカレーは売ってないんですよ」こんな一言を真顔でボソッと言ってつまらなくないんだから、すごい。


・『茗荷宿』は名前の由来である<茗荷宿>が出てくる前に意識が遠くなったのでご容赦つかまつります。御免。


・『蛸芝居』この会の一等賞!見れて良かったこの一席!!
舞台はとある大店。そのお店の人々は旦那様から小僧まで芝居が大好き、何をするにも芝居調で日常を過ごしていた。そこへある日近所の魚屋が立ち寄り、店の者達は蛸を買うのだが・・・これぞ古典落語版ミュージカル、とでも言うべき賑やかな噺。


全編に渡って登場人物全員が事あるごとに芝居をする。本当にあのミュージカルみたいなタイミングで、ほうき掃除しながらでも歌って踊る。もちろん全て下座さん達の歌とお囃子もついている。めちゃくちゃ素晴らしかった。東京落語には無い世界な事もあって、びっくり圧巻おでれーーた。


この根多を聞いた事のないトーキョーの皆さんもたぶん落語好きなら「故・文枝師匠の蛸の顔」を見た事ある方も多いでしょう。染丸さんの『蛸芝居』はこの文枝師匠からの直伝で、何度も「あの顔」の練習をみっちりさせられたとか。しょーげきてきです、衝撃的。あとでチェックした事によると染丸さんは上方でも有名な、お囃子や踊りの名手なんだそうです。あと東京での知名度も高いあの姉様キングスの染雀さんのお師匠さんなんですね。なるほど、なるほど、さすがこの師匠にしてあのお弟子さんだわ。


一緒にいた友達は前日16日の珍品堂1にも居たので、「私がもし上方にいたとしたら、三喬さんと染丸さんを追っかけていたと思う」という言葉にも納得。うんうん、私も染丸さん、絶対追いかけてたね。


!追記!
そんな染丸師匠には8/5横浜にぎわい座で会えるようです。
8/5 林家染丸一門会 於:横浜にぎわい座
詳しくはblocデータ作っておきました。
http://www.bloc.jp/stilllife/data/1153337103
チーム志らく派は学士会館から夜の部にハシゴする?!

*1:うろ覚えですが、終演予定時刻よりそれ位押した気がします