今日も生きてる

福袋演芸場

平成18年5月5日早朝 於:池袋演芸場

ーお番組ー
入船亭遊一 『干物箱』
古今亭志ん太 『お見立て』
金原亭小駒 『片棒』
古今亭志ん公 『妾馬』


・10時開演〜12時終演の予定でネタ出ししてあったのが昼席の都合で11時30分終了になったとかで、皆さんおせおせ。私にとっては立川流(特に志らく一門は速い)に慣れてるから、これ位の方が中だるみせず聞けて、かえって好印象をうけたかも。朝だからそうそう笑えないかな、眠くなるかな、と思ったら、バカバカしくてにぎやかな噺ばかりで期待以上に楽しい時を過ごせた。がんばって行ってよかったわ。


・噺と関係ないですけど、遊一さん、いつにも増して、白いな・・・。朝だからかな。
『干物箱』、ここ最近聞いた遊一さんのではいちばん良かった気がする。本屋の善さんが、若旦那の頼みを最初は断るのだが、羽織と祝儀のご褒美をちらつかされ、「嫌だ・・嫌だ・・けれども」といって文字通り「手のひらを返した」のがツボ。また、お父っつぁんにバレた時に追い詰められた善さんが、「ぺぎ・・」という奇声を発したのにはヤラレタ!笑


早朝、しかも出だしに、丁度いい具合の客席あっため加減と軽快さがすてき。志ん太さんのマクラ通り、このタイミングで「銀座アーベントばりの熱演」「僕のこと憶えて帰って下サーーイ!!」みたいなもの見せられても困るものな。


・志ん太さんの『お見立て』。4席の中で、総合的に一番面良かった。志ん太さんの『真田小僧』をぽっどきゃすてぃんぐ落語で聞いた事はあったけど生で聞くのは初。それでクセのある声だな、と思っていたけど、生で聞いたらもっとインパクトがあった。声に癖のある人は好き嫌いが別れる難もあるけれど、志ん太さんの場合、わたしは好き。どっちにしても特徴ある声は武器だと思う。


マクラ面白かったなー。
「まあ、皆さん、GWに、こんな早朝から、池袋にお籠りになって・・こちらが熱演すればする程お客様の負担になるという」
「一人前の落語家になるために、日々身を削って「飲む・打つ・買う」に打ち込んでおります」
「吉原という所では男の働き手の事を若い衆と言ったそうで、これは例えどんな年寄りでも若い衆と言ったそうです。ですからあそこへ行けば扇橋師匠も圓菊師匠も若い衆なんです」


この人は顔の筋肉がよく動く、動く。表情がとても豊かで素晴らしかった。田舎者の顔はまるで「ガッハハハハアッ」ていう吹き出しと供に少年漫画から出てきそうだし(ドラゴンボールの牛魔王みたいな)、「あら!来たのアレが?!」って嫌がる花魁の顔もヒドくて良い。
あとお気に入りのくすぐり、お大尽が墓場で泣くシーンか小僧が嘘泣きするシーンか、どっちか分からなくなっちゃったんだけど、「ホーー!ホーー!ホーー!」っていう泣き方で、入ったツッコミが「なんだ空襲警報か?!」


・小駒さんの『片棒』。小駒さんといえばこう、わりとお顔もすっきりしていて、笑うと目が細い宮様系の微笑みを浮かべ、キレーな落語に、キレーな所作に、キレーな佇まい、「ザ・古典落語」、「正統派にうまい二ツ目」、そんなイメージがあったんですよ・・(ちなみにこれが4席目ね)。


しかし本日、雅な皇ゾクスマイルはそのままに、朝から下ネタ連発!下ネタっていっても卑猥な方じゃなくてお下のほうですよ!きわめつけは「朝っぱらからスカトロネタはお嫌いですか?」とニッコリ微笑み続けたままで言うたよこの人。いや、スカトロて!あなた。本当に朝っぱらから汚いよ、ここは深夜寄席ですか?え、小駒さん何をおっしゃるの?という意外性に、カウンターパンチ。ええーー!!っと思ったけど、これは非難の声ではなく、正直うけた。うけましたよ。でも引いた客もいたと思う、肌で「サーーーッ」ていう引き潮の空気を感じた。そんなこと「片棒」のマクラで言わなくてもいいのに、アグレッシブプレイすぎ!笑


お噺の方は時間がなくて二人目の息子まで。お囃子に合わせて踊るおとっつぁんがロボットダンスみたいでおかしかった。でも『片棒』はもっとむちゃくちゃにバカバカしくやってほしいなー。やはり時間がおせおせだったのが難点か。


・志ん公さん。最初の方は筋を語ってはしょり、八五郎がお城に行くぞ、という段から。「もっとくっついて歩こうよ」と小刻みに震えながら案内人にすりよっていく八五郎がオモシロ。釣り上げた魚みたいにピチピチしていた。「こりゃー良い酒だ。さすが大名の酒だ。ゆんべ飲んだドブロクなんて『ドケドケ!』って言われて逃げるよ」のシーンでドブロク役(笑)も同じ様にピチピチしながら逃げていた。


またお殿様がいかにも育ちがよさそうでボケボケしててかわいい。「目黒のさんま」の殿様とかもこれでいけそうだ。八五郎の話を聞くときと、「控えておれ三太夫!」という時との差にメリハリがあっていい。
第一印象は「この人喋りはスルスル奇麗だけど緩急なくてツラくなってくるかも・・」と思ったけど、各所各所で爆発力というか、飛び道具的なものがあってきちんと楽しめた。基本のだしの良さだけで持っちゃう人もいるけど、スパイスを効かせるのも一つの手だよね。


追記:
池袋演芸場の机の使い方がいまだにマスターできません。立たせられなくていじってたらもう遊一さんがまくらを喋り始めてた時に倒れてガッッターーンいわせたよ・・しょっく。しかも一度出せたのはいいけど、今度は帰る時しまえないでやんの。寄席の会場では池袋がいちばん雰囲気よくて好きなのにー。誰か今度同席したら使い方教えて・・!

広告を非表示にする