今日も生きてる

笑志の今夜はにぎわE(感想その1)

平成18年5月3日 於:横浜にぎわい座


ーお番組ー

立川らく次 『金明竹』(開口一番)
立川笑志 『元犬』
立川談志 『浮世根問』
<仲入り>
寒空はだか 漫談・唄
立川笑志 『茶の湯


あーーーーー!!!!!!!あの野郎!腹が立ってしょうがない!
ほかの詳しい感想は後で書くが、先にこの事件のことだけ書いて上げる。


今日の主役はもちろん笑志さんだ。3月の『平成の落語者』(演目:『狸賽』)がよくて、その時にこの会のことを宣伝していたから今日は談志目当てだけではなく、主役の笑志さんも楽しみにして来た。だから主役を差し置いてこんなことを特筆するのもなんだけど、今日の家元は、ここ数席見た中で一番、お体の具合もご機嫌も良さそうで、楽しげに喋ってくれていた。先日の独演会では「ネムネムな家元」を見せつけられてたので、特に今回はラッキーだなァと思ったし、健康を案じるいちファンとしても非常に嬉しかった。


いつものようにたっぷり小咄を聞かせてくれたあと、更にたーっぷりな『浮世根問』をやってくれていて、隠居さん役として「先生はここから『芝浜』だって始められるんだぞ。(お客に)聞いてみようか?何をやってほしい?」と言って観客を湧かせて盛大な拍手をかっさらい、その後も「先生じゃあ『千早振る』ってなんですか?・・なんてな」と再度煽ったり、すごくいいムードだったのだ。


時間的に噺も終盤のほうだったと思う。あろうことか、ある客が、「面白くねェ」と野次を飛ばしたのだ。「あ、今なんてった?」聞きただす家元、凍りつく客席、「面白くねえ」、半笑いでくりかえす客、まだ事の大きさを分かってないそのおっさんは、とりつくろっているつもりか今度は「がんばってくださいよ」という。当代の名人に向かってなんて失礼。
しばらくその客と問答を続け、ついに家元は「こっちはな、緊張した客とのラリーをやってんだ。それがここで切れちまった。シラケちまったよ。もうこれだけやりゃあいいだろう」と捨てゼリフを吐き、高座から去って行ってしまう。
残るのは最悪の空気だけ。とはいえ仲入りの後、はだかさんも笑志さんもどうにか盛り返そうと本当によくやったと思う。だけどあのおっさんへの腹立たしさはどうしたって収まらない。


こ・の・ば・か・や・ろ・う!!!!!!!おまえは何様だ、二階席や列のじじい!!!あーあー吹き矢が吹けたら吹きたかった!正拳づきしてやりたかった!出来るなら、大工調べの棟梁みたいに啖呵切ってやりたかったよ!志ら乃さんの棟梁をイタコのように降ろしたい所だよ!


よしんば、お前に落語の善し悪しを語る権利があったとしよう。たとえ無礼であっても、それを当人に伝える権利があったとしよう。そこまではまだアリだ。たとえファンとしてはムカッパラが立ったとしても、まだ何とか許せる。


だがしかしだ、お前には、今日のためにチケットを予約して*1、3000円払って、人によっては更に1000円以上の交通費払って*2、予定を調整して、落語を聞きにきたお客さんの楽しみを奪う権利はないよ。ビタ一文ない!!全員分の慰謝料でも払ってくれんのかってんだ!


おしなべてやる気まんまんな横浜にぎわい座の職員さんたちが、開口一番でらく次さんが、主役の笑志さんが、そして談志師匠が、あんなに温めてた会場の空気に、自分のエゴで冷や水ぶっかける権利はてめえにはないし、その覆水を盆に返らすことは誰にも出来ないんだ。それにだ、たとえもし談志師匠がつまらなかったとしても、笑志さんの会全体をぶち壊すのは本当に本当に理不尽すぎる。


ああ、ちくしょう、怒りが周りに周って泣けてきた。もうバカバカバカ!帰り、鞄の中に入れてた橘蓮二さんの『写真集 高座のそでから (ちくま文庫)』を読みながら、電車の中だけど泣いてしまいそうだった。今は我慢しなくてもいいので思いっきり泣いてます・・。
写真集を見ながら、思った。こんなにこんなに美しい世界をつくっているんだよ、あの人たちは。ここに載っているような高座姿を見てるだけで、私はこんなに幸せになれるんだよ。それを貶めやがってあの大馬鹿野郎。嫌なら来るな、今日がたまたま気に食わなかったんだとしても、そんなこと客の前で言うな!!おじさんも今度つまんなかったら、家元の名言を心に留めといてくれ、かの人は言ったのだ、「我慢して食え」!!

*1:満席でした

*2:ちなみに私は今日、朝から日帰りで沼津に行き祖父の墓参りを済ませ、そこから新幹線で横浜にとって返し、帰りは都内の家までは1時間半あまり