今日も生きてる

柳家三三真打披露

平成18年4月25日 昼の部 於:池袋演芸場
ー番組ー

<真打披露口上>(馬風、さん喬、権太楼、小三治、三三)
柳家権太楼 『人形買い』
柳家さん喬 『子ほめ』
柳家小三治 『二人旅』
柳家三三 『三味線栗毛』

・せっかく昨日行った人から「三三さんの真打披露、早めに行かないと立見になるよ。」と教えてもらってたのに、名古屋旅の疲れがまだ取れず、思いっきり寝坊。失礼ながら、口上の途中にやっと間に合う時分に到着。客席脇の立見列に何とかすべりこむ。


小三治師匠の言葉がすごく良かったので憶えてるだけ書き起こします。愛に溢れてて素敵!

口上で:
「ここで三三の披露を見たのも一つのご縁として今後もご贔屓のほどをお願い致します。ひいきにするといっても、色々あります。祝儀を包んでやるとか、また帯の一本や二本、着物の一枚や二枚買ってやる、これも贔屓でございます。しかしそれよりも、今後寄席で三三が出て来たとき、大きめに拍手をして頂く。強めに手を叩いて頂く。こういう気持ちが我々噺家には何より有り難く胸に届くのです。」


マクラで:
「三三は新真打ちの中で一番評判がいい、などと口上で言った方もありますが、それでも、よちよち歩きの赤子達の中で、まっすぐ歩ける位のものでございます。将来が楽しみでしょう、とも言われます。しかし、私としては、楽しみといっても、良い方だけではございません。駄目になるのも楽しみなんです。
長い噺家人生、真打になってからやっとスタートラインに立つようなものです。私なども、真打になってから三十年余りになります。その長い間には、良いときも悪いときもある。そうして良い時だけではなく、悪いときでも、親のように一緒に苦しみ、心配する、それも楽しみなんです。どうか皆様も、そんな親のような気持ちで、三三のことをよろしく見守ってください」


・まだまだ続くよ、私のさん喬フィーバーは!という事で愛しのさん喬師匠の演目は『子ほめ』、しかもその後、舞踊「なすとかぼちゃ」を踊ってくれて、ますます心ときめきドキがムネムネ。さん喬さんの踊りなんて、もう、そんな、あなた!ヤバイヤバイヤバイ・・師匠・・・好きです。後日、ある人から、池袋のさん喬師匠の口上、もう面倒くさくなってきた感たっぷりで逆に面白いよ、と言われ、聞き逃したのがじつに悔やまれる。
噺はおなじみの一席ですが、細かいくすぐりで良かったのは、八五郎のいいまつがいネタ、「どうりで顔が福々しい」→「どうりで顔が池袋」。こういうセコ巧い洒落って笑った自分がくやしいながらも、やっぱり笑っちゃうよね。


・新真打三三さん。マクラで笑ったことには、「最近は改善されてきましたが、昔はよく若さが足りない、堅い、などと言われてきました。この前たまたま自分の初高座『道灌』のテープが出て来て聞いたんですが・・まるで死ぬ二年前の名人のようでした。」


『三味線栗毛』、深みのある面白い噺だなあと思って聞き入りました。あんまと未来の大名さんが親しくなっていく下りとか、夜の親密な静けさ、二人の男の友情というか、なんともいえず味わい深い雰囲気が伝わってくる。いきなり滑稽噺になるサゲは、調子が狂いすぎて肩すかしを喰らった感じで微妙だった。
三三さんを聞くのは二席目、でもまだまだ当たりには当たってないと思う。また聞きにいきます。